CHEERZにおける「応援」の仕組みについて触れておこう。応援したい子の写真画面で「CHEER!」ボタンをタップすることでその子にポイントが加算される。ポイント数に沿ってランキング付けされるので、応援している子の順位を押し上げたければ、「CHEER!」しまくるしかない。ただ「CHEER!」のポイント数には限りがあるので、ポイントがなくなると、回復するまで待たなければならない。
回復するとアプリを立ち上げ、再度「CHEER!」することができる。これを何度も繰り返すことで応援する。この仕組みにより「CHEERZのR/R(リターンレート、ユーザーの回帰率)はかなり優秀」(関根CEO)なのだという。
もっと熱心に応援したければ、ポイントを購入することで“推し”の子にポイントを一気に投下することもできる。最初に「CHEERZは無料」とお伝えしたが、一応、このようなアドオン課金の仕組みがあるので、正確にはフリーミアムモデルに分類される。当面の収益は、このアドオン課金から得ているのだが、その詳細は後述する。
熱心なファンがポイントを買いたくなる巧みな仕掛けも用意している。各アイドルのページに「ファンランキング」と呼ばれる、ファンの応援度を示すランキングがある。当然ながらたくさんのポイントを投下したファンほど、ランキングが上がり、ファンとしての忠実度や存在感を示す場にもなっている。それだけでなく、たとえば、ライブや握手会などで、アイドルにリアルに面会したときに「ファンランキング」の画面を示し「この1位は私です」と、自分をアピールするツールにしている例もあるという。
AKB48の投票券付きCDの場合、推しメンの順位を上げるために1人で数十枚、数百枚のCDを購入する例もあるだけに、このようにお金を注ぎ込む行為は、ファン心理として珍しいことではない。それにしても、アイドルファンというのは、なんと健気で純粋な人達なのだろうか。1000億円に迫ろうかというアイドル市場は、このような人達に支えられているのだろう。ちなみにCHEERZの応援ボタンで課金する仕組みは、ビジネス特許出願中だそうだ。
一方、アイドルの側にもインセンティブが用意されている。フォッグでは、リアルへの進出、つまりアプリ外の活動を後押しするイベントや企画を積極的に実施している。たとえば、ファミマ・ドット・コムの協力でフォッグが3月14日に発行した『CHEERZ BOOK』という紙の本がある。これはアプリ内のランキング上位のアイドルを写真家が撮り下ろしたグラビア写真集だ。「リアルメディアに自分が掲載されることはアイドル活動の大きな励みになる」(関根CEO)からだ。
また、広告ジャックという形で、原宿の竹下通りにある人気アパレルショップ「Momo」の巨大ウインドウ看板にランキング上位の子を登場(4月13日以降の予定)させるなど、「アプリだけでなく、リアルメディアへの露出の機会を設けることでプラットフォームとしての価値を高めることができる」(関根CEO)という狙いがある。
この他にも、タイ、米国、フランスで開催される海外フェスでの活動支援、音楽情報サイト「ナタリー」の記事を買い取ってのインタビュー出演といった、アプリ外での活動の場をフォッグが企画して提供している。その狙いは的中し「リリースして4カ月だが、アイドル業界でのCHEERZの存在感が日増しに上がっていることを実感している」(関根CEO)そうだ。
これら数々のアプリ外の仕掛けを見ると、CHEERZはアイドルのプラットフォームを本気で取りに行っていることが伝わってくる。だからこそ、ここに参加するアイドルにも「本気」を要求している。「アマチュアは参加できない。一応、事務所に所属していることが条件で、弊社営業担当が個別に話をして参加の可否を判断している」(関根CEO)というだけに、一定の基準を満たす本気アイドルだけが参加を許されている。また、ファンが購入した有料ポイントからの「CHEER!」の一部をレベニューシェアする形でアイドル側に還元しているという。
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