参加アイドル300人以上! アイドルアプリ「CHEERZ」のビジネスモデルとは?アイドル市場の規模は863億円(1/4 ページ)

» 2015年04月09日 08時25分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

著者プロフィール:山崎潤一郎(やまさき・じゅんいちろう)

音楽制作業に従事しインディレーベルを主宰する傍ら、IT系のライターもこなす。街歩き用iPhoneアプリ「東京今昔散歩」「スカイツリー今昔散歩」のプロデューサー。また、ヴィンテージ鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」の開発者でもある。プロデュースした音楽アルバム「全6時間のノンストップ勉強・作業用BGM - 集中と全力の101曲」は、iTunes Storeのクラシックジャンルで6カ月以上ベスト5をキープ中。


アイドル達が自分撮り写真を投稿するCHEERZ。時系列に並んでいるのでスクロールして好みの子を見つける

 親指の下を、笑顔のアイドル達が高速スクロールで駆け抜ける。ピピッと来た子がいたので、反射的にスクロールを止めた。顔をじっくりと見る。「うん、かわいい。応援しよう」

 アイドルアプリの「CHEERZ」を使い始めてからというもの、これが日課になった。「50代のオッサンが何してんねん!」とつっこまれそうだが、日めくり感覚でかわいい女の子の写真を見るのは、悪くないものだ。

 CHEERZ(参照リンク)は、アイドル達がスマホで自分撮りした写真を投稿するメディア。同時に、投稿写真の閲覧機能を提供するアプリの名称でもある。登録してある約300名のアイドルは、日々CHEERZに写真を投稿している。一方、ユーザーは“推し”の子に対し「CHEER」ボタンをタップして応援することができる――そんな仕組みのアプリだ。多くの支持を集めたアイドルは、ランキングが上がり露出が増える。

 とりあえず無料で使え、アイドルの日常を垣間見ることができることから毎日立ち上げているCHEERZだが、使っているうちに、誰が何の目的でこのアプリを作り、どうやって儲けているのか、俄然興味がわいてきた。アイドル系ビジネスというと、握手会や投票券付きCDでお馴染みのAKB商法しか思い浮かばない筆者だが、このようなアイドル系アプリがどうやってビジネスとして成り立っているのか? CHEERZの運営会社であるフォッグに出向き、このアプリやアイドルビジネスの現状を根掘り葉掘り聞いてきた。

日本のアイドル市場規模は863億円

 CHEERZの詳細に迫る前に、現在のアイドル市場を俯瞰(ふかん)しておこう。図2のグラフからも分かるように、アイドル市場は2010以降年々拡大している。2013年の市場規模は863億円で前年比19.9%増。これがどの程度の規模なのかというと、Jリーグの営業収入総額が794億円、スマホやタブレットのアクセサリー(ケースなど)市場が802億円。アイドル市場も規模としては立派なものだ。ちなみに、音楽制作業を営む筆者は有料音楽配信市場で収入を得ているが、2013年の同市場の総売上は417億円と、アイドル市場の約2分の1にも満たない。

2010年からの4年間は毎年10〜15%程度の伸び。2014年以降は、伸び率から計算した筆者の予測値

 この数字には、AKB48グループ、ももクロ、でんぱ組.incといったビッグネーム達が産み出すビッグマネーが含まれているので、当然と言えば当然なのかもしれない。ただ、グラフをご覧頂くと分かるように、2010年からの4年間は毎年10〜15%程度で、右肩上がりの伸びを示している。ちなみにグラフの2014年以降は、この延び率を維持したまま成長すると仮定した場合の筆者による予測値だ。東京オリンピックの年には、3000億円を達成する計算になる。

 現在のアイドル市場の賑わいぶりを「ビッグネームが稼いでいるだけだろう」とは言い切れない。AKB48のブレーク以降もたくさんのアイドルが誕生しており、撮影会、ライブ、握手会といったイベントでファンがお金を落としている。こうした小さなお金の積み重ねが、市場規模を底上げしていると想像できる。

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