例年より3カ月遅く、3月開始になった今年の就活。企業説明会や面接が解禁されて1カ月経ちますが、リクルートスーツに身を包み、せわしなく歩く就活生の姿をよく見かけるようになりました。
就活に関しては、毎年さまざまなデータが公開されます。中でも注目されるのが「志望企業ランキング」ではないでしょうか。この手のランキングはさまざまな媒体によって調査・発表されますが、いずれにせよ「1位は三菱商事だった」「今年はトヨタが順位を下げた」など、個別の企業の結果や前年との比較が語られるばかりで、なかなかそれ以上の議論に発展してはいないようです。
そこで本稿では、過去10年という長いスパンで、とくに業界単位での就活市場の動向をグラフ化し、俯瞰(ふかん)することを試みました。明らかにしたいのは、志望企業ランキングは単なる「企業イメージの人気投票」ではなく、ある程度「世相を反映したもの」なのかどうかということです。
まずは、この10年を通して学生の志望度が安定していた、あるいはしていなかった業界について見ていきます。さらに、各業界をまとめ、経済指標などとの関連性が見られるかどうかについて考察していきます。
まず注目するのは、10年を通じて比較的変化が少なく、常に志望企業が多い業界です。筆頭に上がるのは、食品・農林・水産業界です。中でも、食品に関わる企業はランキングでの出現頻度が非常に高いものになりました。
棒グラフの値はランキング中にその業界に属する企業が何回出てきたか――いわば、その業界の人気度を表わしています。つまり、食品関連業界はこのように、常に人気を保ち続けてきたと言えそうです。
この10年間で私たちを取り巻く経済状況はめまぐるしく変化してきましたが、年経過による変化がほとんど見られないこの業界は、それだけ私たちの生活と長く密接に関わっており、経済的にも安定した馴染み深い企業が数多く存在していることを表していると考えられます。
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