新天地でも“転校生”ではない、イチローのハイレベルな「EQ」赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2015年04月09日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 今年もメジャーリーグが開幕した。今季からマイアミ・マーリンズのユニホームに袖を通したイチロー外野手は、メジャー15年目のシーズンを迎えた。41歳の背番号51にかかる期待は大きい。今季開幕前の時点で残り「13」となっていたMLB史上38人目となる通算500盗塁の達成は目前。ピート・ローズ氏の持つ4256安打のMLB最多記録にも、日本のNPBで1278安打、昨季までMLBで2844安打を放っていたイチローは日米通算ながら迫ろうとしている。

 しかしながらチーム内で置かれた立場は4番手の外野手。現時点では常時出場は保障されておらず「控え」だ。それでもイチローに悲壮感はまったくない。サブメンバーのポジションを契約の時点で素直に受け入れ、マーリンズのために“フォア・ザ・チーム”の精神に徹することを心に決めた。従って焦りのようなものもまったくない。その姿は達観していて、どこか今の自分の立場を楽しんでいるようにも見える。

 マーリンズのチーム内では、そんなイチローを崇拝する若い選手が非常に多い。左翼を守るクリスチャン・イエリッチはまだ23歳。昨季ゴールドグラブ賞を受賞した主力メンバーだが、まだ今年でメジャー昇格3年目の若手だ。「イチローは子どもの時からテレビで見ていた。ボクのアイドルだ」と言い切って目を輝かせたイエリッチは、こう続ける。

 「練習方法や調整法、一挙一動のすべてにおいて注目されるべき偉人だ。『生きる教材』と言ってもいい。チームにとってとても心強い存在であることは誰もが認めているよ。

 でも彼のスゴいところはテクニックや練習方法だけじゃない。あれだけのレジェンドなのに壁を作らないことだ。ジョークもうまいし、皆をとてものせてくれる。日本人とはとても思えない。まるで昔から、このチームにいるような感じだ。言葉の壁もまったく感じさせないんだよ」

今季からマイアミ・マーリンズのユニホームに袖を通しているイチロー外野手(出典:YouTube)
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