レトルトカレーはブランドが多いのに、なぜカレールーは少ないのか水曜インタビュー劇場(2/5 ページ)

» 2015年04月08日 08時08分 公開
[土肥義則ITmedia]

広報部: かつての日本は、食卓の決定権がお父さんにありました。しかし、バーモントカレーが発売されたころは「高度経済成長期」で、忙しいお父さんが増えてきました。夕食を家族団らんで……という機会が減っていく中で、食卓の決定権がお母さんや子どもに移っていきました。そうした時代背景があって、辛くないカレーが広まっていったのではないでしょうか。

 また、それまでは家でカレーをつくるのに、ちょっとした問題がありました。例えば、大人は辛いカレーが好き、子どもは甘いカレーが好きといった場合、鍋を2つ用意しなければいけません。大人には従来の辛いカレーをつくって、子どもには牛乳を入れて辛さをマイルドにしたり、ハヤシライスをつくったり。そうしたわずらわしさがあったので、「家族みんなで食べられるカレー」をコンセプトに掲げて、商品開発を進めました。

土肥: その結果、リンゴとハチミツを加えたのですか?

広報部: たくさんの人にヒヤリングしたところ、家でカレーをつくるときには「リンゴをすりおろして入れている」「牛乳を入れている」「フルーツを入れている」といった声がありました。そうした声を受け、さまざまな組み合わせでつくったところ、「リンゴとハチミツがおいしいのでは」ということになりました。

土肥: 次にネーミングを決めなければいけないと思うのですが、なぜ「バーモントカレー」になったのでしょうか?

広報部: 候補として「フルーツカレー」などがありましたが、「それだとイマイチ伝わらないよね」といった声がありました。

 当時、米国のバーモント州から伝わっていた民間療法「バーモント健康法」が話題になっていました。この健康法はリンゴ酢とハチミツを使ったものだったので、「新しく開発したカレーにリンゴとハチミツが入っているよね。ネーミングに使えるのでは」という意見がありました。厳密にいえば使っている素材は違うのですが、健康法のネーミングにちなんで「バーモントカレー」にしました。

バーモントカレーのテレビCM。1970〜80年代にかけては、西城秀樹さんが登場していた(出典:YouTube)

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