2014年の夏に登場した二代目コペンは、今注目の軽自動車枠のスポーツモデルだ。コペンはその登場時から、2つのボディデザインバリエーションを持つことを強く訴求していたが、今回なんと第3のモデルを発表した。
短期間にそんなにボディデザインのバリエーションを増やしたら、普通に考えればコストの増大を招く。なぜダイハツはそのような戦略をとっているのか? 今回はそんな話をしてみたい。
初代コペンは2002年にデビューした。あくまでもライトなスポーツオープンモデルとして、見た目の可愛い“雰囲気スポーツカー”として企画されている。
ただ幸運なことに、コペンのベースとなったL700系ミラは軽自動車ターボ戦争の最中に設計されたため、見た目と違い、軽自動車としては屈強なシャシーを与えられていた。
そのためコペンは、高いシャシー剛性の恩恵に浴することができた。初代コペンは決して硬派なスポーツカーを目指して作られたものではないが、可愛らしい見た目に反して走ってみると結構スポーティという、ある種「ギャップ萌え」が面白いクルマになっていたのである。
それは同時に、ユーザーの多様なニーズに応えるということにもつながった。例えば女性にとっては「デザインの可愛いオープンカー」であり、中高年にとっては「維持しやすい軽自動車の遊びグルマ」、若い男性にとっては「結構よく走るスポーツカー」……こうした具合で、1台のクルマが多様なユーザーの気持ちを射抜くことに成功したのだ。
おそらくダイハツ自身も予測していなかったことだと思うが、コペンはロングセラーとなり、12年の長きに渡って販売された。コペンは相反するそのスタイルと走りで老若男女幅広い層から支持され、企業としてのダイハツの宝物になった。ダイハツはその企業史で初めて、アイコンとなるクルマを手に入れたのである。
そうなるとそのモデルチェンジは大変難しい。ところがダイハツは針の穴を通すようなソリューションをひねり出した。それが「新骨格構造D-Frame」である。現在の自動車はそのほとんどが応力外板(モノコック)構造を採っている。ちょうど卵の殻のように外板で強度を受け持つ方式だ。軽量でスペース効率が高いため、トラックや四輪駆動車の一部を除けばほぼ例外がなく採用されている。そういう時代に、ダイハツはあえて骨格(フレーム)方式を採用したのである。
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