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» 2015年04月06日 09時20分 UPDATE

マネーの達人:大手生保が増配を発表――生命保険の配当金のしくみを理解する

2015年3月、大手生命保険会社が2014年度決算で、個人契約者への配当金の増額を計画しているという内容の記事が掲載された。今回は、生命保険の配当金のしくみを紹介する。

[釜口博,マネーの達人]
マネーの達人

大手生保が軒並み、配当金増額の計画

ks_seiho01.jpg (出典:朝日新聞デジタル)

 2015年3月12日付けの朝日新聞に、日本生命や第一生命など、大手生命保険会社が2014年度決算で、個人契約者への配当金の増額を計画しているという内容の記事が掲載された。

 株高や円安で資産運用による収益が増え、保有契約者増加の影響もあり、契約者へ利益を還元するというもの。

 今回は、生命保険の配当金のしくみを紹介しよう。

生命保険の配当金のしくみとは?

 生命保険会社は、予定していた死亡者数や運用利回り、事業費と、実際のそれらの数値の差によって生じる「剰余金」を貯めている。 

 この「剰余金」の中から、契約者へ分配することがあり、その分配するお金のことを「配当金」と呼ぶ。

 保険会社は「配当金」の原資となる「剰余金」を貯めるために、

  • (1)できるだけ死亡率(予定死亡率)は高めに
  • (2)できるだけ運用利回り(予定利率)は低めに
  • (3)できるだけ経費率(予定事業費率)は高めに

 設定している。また、

  • (1)の差益のことを「死差益」
  • (2)の差益のことを「利差益」
  • (3)の差益のことを「費差益」

 と呼ぶ。

 この3つの差益の総和が「剰余金」である。

配当付きの保険は選択するべき保険ではない

 保険会社は堅い経営が方針であるから、できるだけたくさんの「剰余金」が発生するように、1〜3の予定基礎率を決めている。

 ところが、「剰余金」が発生したとしても必ず「配当金」を分配するわけではなく、また「配当金」を分配するかどうかは保険会社が決定しており、しかも、すべての契約者へ按分して分配するわけではない。

 今回の場合、最大手の日本生命は、契約期間が10年未満で予定利率が低い契約を中心に増配するとのこと。

 「予定利率が低い=保険料が高い保険」であり、そもそも、配当金が出る保険は配当を全く出さない保険よりも高い保険料を徴収しているのだ。

 配当が出るかどうかは保険会社次第であり、配当が出たとしても分配されるかどうかも不確かであり、配当が出ない保険(無配当保険)よりも高い保険料を徴収されるという配当付きの保険(有配当保険)。おすすめできる保険商品とは言えないのだ。

 「リスクに対しての経済的補てんを確保する」という保険本来の役割から考えれば、無配当保険を選択するのがベターである。(釜口博)

著者プロフィール:

釜口博

株式会社ジョイント・プレジャー 代表取締役

大学卒業後、広告代理店にて営業を3年、建築資材メーカーの営業を9年経験後、外資系保険会社に転職。3年間の生保営業経験を経て、自身のFP事務所を設立。保険実務に強いファイナンシャルプランナーとして、また自身の営業経験を生かした営業実務研修は、即実行できる内容との評価が高い。

FPコンサルティング:資金計画、住宅ローン、保険見直し等の相談業務、キャッシュフロー表、ポートフォリオの提案など

執筆業務:きんざい「FP技能検定教本2級」「最短合格2級FP技能士(上巻)」、「KINZAIファイナンシャル・プラン」、共済保険研究会発行「共済と保険」、など

セミナー運営:FP向け継続教育セミナー、職業訓練、営業推進研修、笑顔になれるマネーセミナー

保有資格:CFP 1級ファイナンシャルプランナー技能士 二種証券外務員


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