私は、このプロジェクトの成功はメディアの力だけではないと思う。発起人の永山氏の身元がしっかりしていること、北海道鉄道観光資源研究会の今までの活動に実績があることが、応募者の信頼を獲得している。また、全額をクラウドファンディングに頼らず、半額まで自力で調達できたという実績が、実現の可能性の高さを示した。
永山氏も「一人でやっていたら無理だったと思う。同じ思いを共有してきた仲間がいたからできた」と語る。また「不成功なら負担無し」というREADYFORの仕組みも良い。「仮に失敗しても失うものはなく、ゼロに戻るだけ。成功したら多くの人が喜ぶ。チャレンジする価値はある」という。
鉄道車両を残したい、傷んだ保存車両を修理したい。しかし個人の資金力では難しい。でも、同じ思いを共有する仲間がいて、ネットで賛同者を集めれば実現できる。気持ちだけではなく、お金も集められる。711系電車保存プロジェクトは、鉄道ファンにとって、クラウドファンディングを身近に感じる事例となった。
今までにも各地のローカル私鉄では「枕木オーナー制度」などで鉄道ファンや沿線市民から資金を集める手法があった。出資者が明記されることで、遠方の参加者にとって「現地に見に行こう」という旅行需要が生まれるなど、相乗効果を期待できる。クラウドファンディングの手法を使えば、枕木よりもっと単価の高いプロジェクトに対し、多くの支援者を集められるだろう。車両を動態保存したり、イベント列車を走らせたりと、地方鉄道を鉄道ファンが支援する仕組みにつながっていくと期待している。
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