もうすぐ40年! 宅急便のこれまでとこれから特集・進化する物流ビジネス最前線(2/3 ページ)

» 2015年04月02日 07時00分 公開
[吉岡綾乃ITmedia]

送れる荷物の数をどう増やすか

 宅急便で夕方までに荷物を出すと、掛かる時間は原則として、600キロメートルまでは翌日午前中まで、600〜900キロメートルまでは翌日の14時以降、900キロメートル以上だと翌々日の午前中に到着する。

 ヤマト運輸では、現在、営業所が約4000カ所、ベース(荷物の仕分け作業を行うターミナル)が70カ所。この拠点で全国津々浦々まで荷物を運んでいる。

神奈川物流ターミナル(提供:ヤマト運輸)

 送り主がコンビニなどに預けた荷物は、最寄りの営業所に集められる。その次はターミナルに集められ、ここから主に大型トラックで届け先に近いターミナルへ運ばれる。届け先の住所に近い営業所へ振り分けられた荷物は、そこからセールスドライバーによって送り先へ届けられる。このステップは初期から大きく変わっていない。届け先が遠方の場合も、途中で飛行機や船を使うことがあるくらいで基本的な仕組みは同じだ。

 とはいえ、初期に比べると配達する荷物の数は飛躍的に増えている。これをさばくためにヤマト運輸ではシステムを数年おきにバージョンアップしてきた。同社のシステムは「NEKOシステム」と呼ばれ、現在は最新の第7次NEKOシステムが使われている。

 システム改修は小刻みに行われてきたが、振り返ると大きな変化だったのは仕分け(送り先を振り分けること)が自動化されたことだったという。

 ヤマト運輸の宅急便で荷物を送るとき、届け先や依頼主の住所といった情報の他に、二つの番号があることに気がつく。一つは送り状に書かれた「お問い合わせ番号(12桁)」、そしてもう一つは、送り状とは別に黄色いシールに印刷された6桁の「仕分コード」だ。

宅急便で荷物を送る例

 今のシステムでは、荷物を預けたときに、送り状の右下にあるバーコードを専用の端末で読み込むと仕分コードが書かれた黄色いシールが自動で印刷されるようになっている。このシールを送り状とともに荷物に貼ると、その数字に沿って荷物が送り先の住所に届く仕組みだ。6桁の内訳は左から2桁ずつ、届け先に近い「ベース(ターミナル)番号−市区郡番号−住所(町村など)」となっており、送り状に記入された郵便番号を見て自動で割り振られる。例えばヤマト運輸の本社宛てに荷物を送ると、仕分コードは「38(東京ベース)−79(中央区仕分け番号)−61(丁目、番地)」となる。

 「昔はセールスドライバーが表を見ながら仕分コードを考えて、送り状の上に赤いマジックで数字を書いていました。当時は4桁(ターミナル番号と営業所番号)だったので、送り状の上に大きな文字で4桁の数字を書いて、数字の下にサッと線(下を示す)を引くまでが仕事。必ずポケットに赤いマジックを入れていたものです。都道府県名や郵便番号が書かれていない伝票も多いので、セールスドライバーは各地の地名を読めるよう、覚えるようにしていましたし、市町村のコードは大抵頭に入っていました。

 自動で仕分コードが出力されるようになったのは、第5次NECOシステムからです。これによって仕分けのスピードが上がり、同じ時間でたくさんの荷物を仕分けられるようになったのです」

NECOシステムとともに、セールスドライバーが持っている端末も進化している。現在は電子マネーでの支払いも可能(提供:ヤマト運輸)

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