新たに高機能アナログウオッチを出すからには、長い歴史と伝統があり、世界が認めるスイスの製品と同じものを作っては勝負にならない。そこでカシオの製品は、「メカニカル」「伝統」「持つ満足感」といった価値を持つスイス製品に対して、「エレクトロニクス」「進化」「使う楽しさ・見る楽しさ」という対照的な価値観を基本に置いている。この三つの要素を備えているのが、カシオの高機能アナログウオッチである。「腕時計は、ムーブメントで大雑把に分けると、デジタル、三針のアナログ、クロノグラフしかない。そして世界の高級ウオッチの多くがクロノグラフであり、それを超えるには、クロノグラフを超える表現力が必要」と増田氏。この“クロノグラフを超えるリッチな表現力”こそが、カシオの高機能アナログウオッチの方向性そのものなのだ。
「“表現力=デザイン”と捉えた時に、単なるデザインだけの時計だと、世の中に有象無象のものがある。しかしこのデザインに機能を表現させると、新しいデザインがクリエイションできる。『この時計はなぜこのデザインなのか?』とお客様が問うたときに、そこに本当の機能があるとそのデザインも本物となる。デザインにこういう機能がある、ということにお客様がなるほどと納得してくださって初めて、そのデザインが本物となる。機能やデザインに凝ったことでどうしても上がってしまう価格にも納得してもらえる」
こうして従来のクロノグラフよりリッチな表現を追求してきたカシオの高機能アナログウオッチだが、さらにこれからどう進化していくのか。そのキーワードのひとつが“目で楽しめるリッチ”だという。「スマートフォンのUIで指をスワイプすると、それに合わせてグラフィックがスーッと動く。これ以上動かないところに持っていくと、バウンドする。こうした動きはすべて中のコンピューターが計算してスピードを変えるといったことで自然な動きを表現している。また本物のコンパス(方位計)では、針が常にゆらゆらと揺れている。そんな“ゆらぎ”や“はずみ”といった自然な動きを表現すること、これこそが“アナログのリッチ”ではないか。クロノグラフの表現力を変える、ということはそういうこと」。デジタルのリッチが“高精細”だとするならば、アナログのリッチは“表現より表情やしぐさ”だといい、それをカシオはデジタルの世界で発想や感性を培ってきたからこそ、今、高機能アナログウオッチで表現できるのだという。
もちろん、だからといってデジタルの技巧による表現の価値ばかりを追求しているわけではない。特に価格の高い高機能アナログウオッチは、やはり所有感というのも大事な要素。スイスのクロノグラフが世界中で支持されるのも、その精緻なつくりだけでなく、そこにある華やかさや美しさに価値が見いだされるからこそ、何百万、何千万という時計が求められるわけだ。そのためカシオでも高機能アナログウオッチに素材や色といった部分に価値を見出してもらえるような商品も今後は出していきたいという。これが2015シーズンにおけるカシオ製高機能アナログウオッチの方向性のもうひとつのキーワードとなりそうだ。
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