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» 2015年03月27日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:“火中の栗拾い”に立ち向かう――WILLER TRAINSの「京都丹後鉄道」に期待 (1/5)

ピンクの高速バスとして親しまれているウィラーグループが「京都丹後鉄道」として鉄道事業に参入する。それは「ピンクの列車を走らせる」「高速路線バスと連携した観光促進」という単純な話ではなかった。赤字に苦しむ地方鉄道再生の手本になるかもしれない。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 4月1日、天橋立地域に「京都丹後鉄道」が開業する。運行会社はWILLER TRAINS。高速路線バス事業で好調なウィラーグループが、赤字鉄道の再建に進出する。第3セクターの北近畿タンゴ鉄道が、鉄道施設の保有・管理会社となり、鉄道運行事業を「ウィラートレインズ」に託す。その経緯と北近畿タンゴ鉄道の背景については前回考察した(関連記事)。今回はWILLER TRAINS側を考察する。

WILLER TRAINSの企業ロゴ WILLER TRAINSの企業ロゴ

 まず、ピンクの高速バスでお馴染みのウィラーグループの全体像を紹介しよう。ウィラーグループには3つのカンパニーがある。ホールディングカンパニー、運輸事業カンパニー、ITマーケティング事業カンパニーだ。

 ホールディングカンパニーのWILLER ALLIANCEは、2つの事業カンパニーを統括し、総務、広報、新規事業開発の機能を持つ。新規事業開発が結実した結果がWILLER TRAINSというわけだ。懸案はほかにもあるようだ。2014年11月に神戸市が新たな交通手段(LRT、BRT)の導入可能性について検討を行う事業者を決定した。地元の神姫バス、みなと観光バス、阪神電鉄、阪急電鉄と並んで、WILLER ALLIANCEも名を連ねている。

 運輸事業カンパニーは高速バス事業のWILLER EXPRESS JAPANと、今回設立されたWILLER TRAINSがある。WILLER EXPRESS JAPANの下部組織として、地域ごとのバス運行会社がある。WILLER TRAINSは今のところ京都丹後鉄道を運行するのみだ。しかし、会社名と鉄道事業のブランドを分けているところから、今後は他の地域にも進出する可能性もありそうだ。

 ITマーケティング事業カンパニーは、WILLER TRAVELとWILLER損保サービスがある。WILLER TRAVELはWebサイトを通じて高速バスの案内やチケット発券、決済業務を営む。ほかに飲食店、Webマーケティング、地域創生ソリューションサービスも手掛けている。つまりグループ全体の営業部門である。WILLER TRAVELの下部組織であるホテルオペレーションシステムズではリゾートホテル事業も手掛けている。

北近畿タンゴ鉄道は京都丹後鉄道に変わる(出典:WILLER ALLIANCE) 北近畿タンゴ鉄道は京都丹後鉄道に変わる(出典:WILLER ALLIANCE
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