3事業領域を組み合わせたビジネスモデル変革を 帝人3分で分かるビジネス戦略(1/2 ページ)

» 2015年03月25日 16時30分 公開
[Business Media 誠]

 Business Media 誠では、さまざまな業界で注目を集めている会社を中心に、各社のビジネス戦略を知るための連載を実施中です。11回目は「帝人」です。

技術を複合

――現在の市場環境についてご説明ください。その環境をどのように受け止めていますか。

 国内では、原油安、円安による追い風はあるものの、消費増税に伴う景気落ち込みからの回復は緩慢なものにとどまっています。世界経済も、原油価格の急落や各国の金融政策の行方を巡り、先行き不透明感や景気停滞感が強まっているなど、依然として楽観視できる環境ではありません。

 そうした中、帝人グループは高機能材料による新たな価値やソリューションの提供、単なる「モノ」の提供ではなく、モノと「サービス」の組み合わせによる顧客の使用価値を追求することで、「ソリューション提供型事業体」への進化を目指しています。

――2015年の企業戦略について聞かせてください。

 帝人グループは、2014年11月に策定した修正中期経営計画で掲げる経営目標に向けて、2016年度までに課題事業に対して抜本的な構造改革を実行するとともに、将来に向けた発展戦略の遂行に、全社を挙げて取り組んでいます。

 帝人グループは、「素材」「ヘルスケア」「IT」と異なる3領域の事業を併せ持ちます。将来に向けた発展戦略は、こうした帝人グループの特長や強みを生かし、「素材+ヘルスケア」「素材+IT」など、優位性あるさまざまな技術や商品の複合化や、融合によるビジネスモデルの変革を進めることで、新たな高収益事業の創出を目指すものです。

 既に素材事業とヘルスケア事業の融合による医療材料(外科手術用止血シートや心臓修復パッチなど)や、素材事業とIT事業の融合によるウェアラブルデバイスなど、事業の融合による画期的な新製品の開発に着手しています。今後、実用化に向けたプロジェクトを推進していくとともに、山口県の岩国事業所には新規事業を創出するための研究開発拠点として融合製剤棟を新設します(2015年秋竣工予定)。

――直近の決算の数字をどのように受け止めていますか。

 上述の通り、楽観視できる事業環境ではありませんが、第3四半期連結決算においては重点戦略事業である高機能繊維・複合材料事業やヘルスケア事業が堅調に推移し、構造改革効果や円安に伴う為替差益の影響などもあり、売上高は微増、営業利益および経常利益はそれぞれ153.8%増・127.9%増と大幅増益する結果となりました。

――御社の強み・課題は。

 素材、ヘルスケア、ITと異なる3つの領域において、優位性ある技術や商品を有していること、また、それらを複合化させることで他社にはできないビジネスを創出することが、将来的な帝人グループの競争力の源泉になってくると考えています。

 こうした事業の複合化や融合から生まれる新たなビジネスによって、独自のソリューションを社会に提供し、社会とともに長期的、持続的に発展していくための体制や仕組みを構築することが、今後の帝人グループの課題です。

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