土肥: 悪天候で飛行機が揺れることがありますが、問題はないのでしょうか?
船越: 問題ございません。お客さまに快適に乗っていただく――そのためには、なるべく揺れないようにしなければいけません。飛行機が揺れる要因として、風の変化、雲によることが多い。雲というのは、目で見たり、レーダーで確認することができますが、風は目で見ることができません。ではどうするかというと、出発前のブリーフィングで、どのあたりで揺れそうなのかを確認します。そして、なるべくそうしたところは飛ばないようにしています。
気象庁が発表している天気図を参考にしているのですが、いつも100%当たることはないですよね。予報なので、外れることもあります。じゃあ、そうしたときにどうすればいいのか。揺れたときには、なぜ揺れているのかを考えなければいけません。
そして、高度を上げたほうがいいと判断すれば高く飛んで、高度を下げたほうがいいと判断すれば低く飛ぶ。また、スピードを落とすこともあります。なぜ、スピードを落とすかというと、クルマが減速すると揺れが収まる理屈と同じ。デコボコ道を走行するときには、スピードを落としたほうがあまり揺れませんよね。
土肥: 雪とか雨はどうですか?
船越: ほとんど影響はありません。雪と雨で問題になるのは、飛行機の性能というよりも滑走路の状態。滑走路には6ミリ角の溝があって、水はけをよくしているんですよね。ただ、その能力以上に雨が降ると、水が浮いてきます。そういった状態でも離着陸できることもあるのですが、すべりやすくなるのでいろいろな制限が増えてきます。
雪の場合は、雪の種類によってすべりやすさが違うんですよ。基準以上になると、止まれなくなるので、離着陸ができなくなります。また、飛行機の翼に雪が積もってしまうと、それを除去しなければいけません。
土肥: どうやって雪を落とすのですか?
船越: 日本の雪はかなりベタベタしているので、最初はお湯で落とします。タンクローリーのようなクルマの中に水を入れて、ボイラーを使ってお湯にします。そのお湯で雪を溶かしてから、不凍液をまいていく。こうした作業は、すべて手作業なんですよ。
土肥: 寒いのに……大変。
船越: 飛行機の翼に黒色の帯があるのをご存じでしょうか? これは単なるデザインではなく、意味があるんですよ。不凍液がきいているときには、雪は積もりませんが、時間が経つと再び積もってしまう。翼は白色なので、雪が積もったかどうかを知るために、わざと黒色のデザインを施しています。
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