中国人観光客が「爆買」する日本の炊飯器は何がスゴいのか窪田順生の時事日想(2/4 ページ)

» 2015年03月24日 08時10分 公開
[窪田順生Business Media 誠]

 中国市場ではそこまでバカ売れしていないものが、免税店で飛ぶように売れる。このような日本製炊飯器の特徴を考えると、「ブランド」という言葉が浮かび上がる。

 よく耳にするが、中国では「日本製」というだけで価値がある。

 中国人の知り合い何人かになぜ日本の炊飯器がそんなにいいのかと聞いたところ、「釜」を挙げる人が多かった。例えば、中国本土でも人気の三菱IHジャーには「本炭釜」という純度99.9%の炭素粉末を圧縮し、最高約3000度で焼成したものを材料とした炭釜がウリなのだが、これは「職人が丹精込めてひとつひとつ削り出した」という。こういう「正真正銘のメイド・イン・ジャパン」がたまらないんだとか。

 もちろん、13億人もいるのでこういう“ブランド信仰”に否定的な人たちもいる。北京日報は、中国製と日本製でそれぞれ炊飯して、どちらがうまいかという昔のペプシとコーラの比較広告みたいなことをしたところ、中国製を選んだのは5人で、日本製を選んだのは3人だったという、なんとも評価が下しにくい微妙な話を掲載していた。「日本製が良いというのはブランド信仰で気のせいですよ」とクギを刺したいのだろうが、こういうスピン(情報操作)が横行すること自体が、中国人の間で日本製が揺るぎない信仰の対象となっている証だろう。

なぜ日本の炊飯器がそんなにいいのか? (写真はイメージです)

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