沖縄の特区制度、なぜ事業認定進まぬ?情報特区は施行後13年で初(2/2 ページ)

» 2015年03月06日 16時45分 公開
[伏見学,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

ハードルは「従業員数」

 このように税制面でのメリットは大きいものの、実情は、制度スタート以降、特区での事業認定を受ける企業が極めて少なかった。なぜか。鈴木氏は「認定要件が我々の想定以上に厳しかったようだ」と話す。

 特に企業からのフィードバックで多かったのが、従業員数にかかわる部分だという。中でも情報通信産業特区は顕著だった。当初は「常時使用する従業員の数が20人以上」としていたが、地場の企業にとってこのハードルは高かった。

 そこで、2012年に沖縄振興特別措置法の改正とともに要件を緩和。20人以上から10人以上に変更した。ところが、それでもまだ厳しいということで、2014年4月に施行された沖縄振興特別措置法の一部改正案で、現行の5人以上という形になった。なお、他の特区でも従業員数の要件を下げており、経済金融活性化特区は5人以上、物流特区は15人以上となっている。「最初は進出企業による一定数の雇用も目的にしていたが、結果的に人数がボトルネックになってしまった」と溝上昌洋参事官補佐は振り返る。

2014年に特区・地域制度が大幅に緩和された 2014年に特区・地域制度が大幅に緩和された

 そのほかにも要件緩和という点では、事業者認定を内閣総理大臣から沖縄県知事に変更したり、対象地域や業種を拡大したりと、段階的に間口を広げる取り組みがなされた。こうした緩和施策によって、現在は経済金融活性化特区に1社、物流特区に3社、情報特区に1社が事業運営している。

 内閣府としては当然、企業による特区制度の活用を促進したい考えだが、「PR面でまだまだ課題がある」(鈴木氏)という。今後は認知度アップに向けたさらなる取り組みが欠かせないはずだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.