リクルートが教育事業に進出する理由として「所得格差と地域格差による教育格差」(山口氏)の存在がある。大学進学率をみると、保護者の年収が1000万円以上の場合は61%なのに対して、400万円以下では34%。都道府県別でみると、1994年に東京43%、鹿児島22%と21ポイント差だったが、20年後の2014年には東京76%、青森39%と37ポイント差に拡大している。こうした日本の教育が抱える課題に対して「すべての高校生がいつでもどこでも最高の先生で受けることができるサービスを提供する」(山口氏)ことで是正を促す考えだ。
また、成長社会から成熟社会へとシフトした21世紀に合わせたスキルや教養の授業を盛り込む。杉並区立和田中学校で校長を務めた藤原和博氏による「よのなか科」では、いじめや自殺などをディベート形式で考えるアクティブラーニングを学校授業で行えるように編集している。
リクルート出身の藤原氏は「受験サプリ」「学校アプリ」について、「(創業者の)江副浩正さんは、教育や就職といった情報の横展開は考えていたが、テクノロジーで義務教育を変えていくという発想はまったくなかった。これが新しいリクルートのスタートになるのではないか」とエールを送る。
受験生が自発的に学べるコンテンツをそろえている「受験サプリ」だが、既に約250の高校が課外授業などで活用。「今後は600校まで広げていきたい」(山口氏)という。「勉強サプリ」も980円という低価格の優位性をもって浸透を図りたい考えだ。一方、小学生の英語必修化への対応は「必要性は認識しているが、まだ未検討」(山口氏)と話す。保護者や教育機関の支持を得るには、質量にともなった授業コンテンツとカリキュラムの内容をそろえることができるかがカギを握りそうだ。
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