1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
2月17日、東京都北区の高齢者向けマンションで、認知症のお年寄り96人が「虐待」をうけていた可能性が高いというニュースが報じられた。
といっても、殴る蹴るという虐待ではなく、ベッドに縛り付けられたり部屋に閉じ込められたりしていたのだ。施設運営者は「医師からの指示で正当な拘束だ」と反論したが、高齢者虐待防止法で禁じられた「虐待」にあたるとして都が改善を勧告したのである。
ちょっと前までは、こういうことが起きると「徘徊(はいかい)して行方不明になることや、身体の危険もあるわけだから、ある程度の拘束はしょうがないよなあ」と思っていたのだが、この道28年という「介護のプロ」とお話をする機会があって、最近はだいぶ考えが変わってきた。
その「介護のプロ」とは、介護福祉士の和田行男さんである。
ご存じの方もいると思うが、和田さんは認知症のお年寄りたちが家庭的な環境のなか、少人数で生活をする「グループホーム」を運営し、数々の先駆的な取り組みを続けてきたことで知られ、一部では「カリスマ介護士」なんて呼ばれている。だが、最初からそのような評価をされていたわけではない。
なぜかというと、かつては和田さんも介護業界では「老人を虐待している」と袋叩きにあってきたのだ。
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