事業拡大に興味なし フレンチフライ専門店「AND THE FRIET」の強烈なこだわりとは?最高を追求(3/3 ページ)

» 2015年02月27日 15時12分 公開
[伏見学,Business Media 誠]
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3つのこだわり

 そんなAND THE FRIETの経営理念とも言えるこだわりは、「イモ」「ディップ」「スタイル」の3つに集約される。

メニューは月替わりなので、顧客に常に新しい体験を提供できるという メニューは月替わりなので、顧客に常に新しい体験を提供できるという

 イモに関しては、調達先となるジャガイモ農場の選定から、農家との対話、品種選びや栽培方法、貯蔵方法などをすべて一人の専任が担当している。調達先は北海道から長崎までと幅広い。また、イモが店舗に納品されてから、その調理方法などを考えるのも同じ担当者だ。

 AND THE FRIETではさまざまなジャガイモ品種を使用していることが特徴の1つだが、重視しているのは品種の豊富さではなく、あくまでもフレンチフライに最適なイモであるということ。同じ品種のジャガイモでも、その熟成度合いによって揚げ上がりや色味、食感などが変わるため、作物データを収集、分析するなどして、より良い商品の開発に取り組んでいる。

品種やカット方法を選べるフレンチフライは珍しい 品種やカット方法を選べるフレンチフライは珍しい

 「この業界のプロダクトは一度完成したらそれをマニュアル化し、売り続けるというものが多い。ファストフードやコンビニはその最たる例だ。けれども、我々のフレンチフライは常にアップデートし続けていく。それが専門店である」(高中氏)

 次にディップである。これも専任の担当者がついている。旬な素材などさまざまな原材料を各産地から取り寄せて、商品化に向けたトライ&エラーを繰り返しているという。キャンペーン用途などを含めると毎月新しいディップが3種類ほど登場するので、文字通り、日夜開発がなされている。

 最後のスタイルに対するこだわりは、顧客自身がイモとディップの種類を選べる点である。またメニューは月替わりで、イモの味も季節に応じて変化するので、1年を通じて新しいフレンチフライが楽しめるのだという。

無理なビジネス拡大はしない

 今後のビジネス展開について、現状では新たな出店などは考えていないという。

 「広尾以外の場所でも同じこだわりを持ってできるのであれば、タイミングと条件次第で出店する可能性はあるかもしれないが、事業拡大のために無理に新規出店することはない。例えば、今後5年間でどれだけ店舗を増やすといった計画は立てない」(小野澤氏)

 今後、売り上げを伸ばすためのプロモーション活動などもしない。とにかく最高のフレンチフライを作ることだけに注力する。

 “硬派”なフレンチフライ専門店として、これからも消費者を唸らせるような商品を送り出していくのだ。

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