総合格闘技「UFC」に激震――人気選手に薬物反応、どうする?赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2015年02月26日 06時24分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 日本ではひっそりとした形でしか報道されていないが、海の向こうで総合格闘技の超人気団体「UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)」に大激震が走っている。米ネバダ州のアスレチックコミッションは2月17日、禁止薬物の陽性反応が出たUFCの3選手に一時的な出場停止処分を科すことを発表。該当者は前UFC世界ミドル級王者のアンデウソン・シウバと元ストライクフォース・ウエルター級王者のニック・ディアス、元ベラトール・ミドル級王者のヘクター・ロンバードで、処分は3月中に行われる公聴会で決定される。

 シウバとディアスは1月31日のUFC183大会のメインイベントで対戦し、試合中の左足骨折から13カ月ぶりの復帰戦となったシウバが判定勝ち。ロンバードも1月3日の同182大会で勝利していたが、両試合の結果についても再検討されることになった。

 3選手はいずれも知名度が高いトップクラスのファイター。特にシウバはUFCで世界ミドル級王座を約6年9カ月間に渡って守り続けた「元絶対王者」であり、スーパースターだ。しかも、そのシウバ、そしてディアスは直近の大会でメインイベンターを務めていたこともあり、UFCのダメージは決して小さくない。

 UFCでは1月上旬、世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズがコカイン代謝物質の陽性反応が出て更生プログラムに取り組むため薬物療法施設へ入院するというショッキングなニュースが起こったばかり。相次ぐトップファイターたちの不祥事にUFC側も対応策を取り始めた。2月18日にUFC上層部のロレンゾ・ファティータ、ダナ・ホワイト、ローレンス・エプスティンの3氏が記者会見を開き、今後の薬物対策の方針を発表した。

 これまで薬物検査及び違反者の出場停止期間は大会を管轄する近郊各州のアスレチックコミッションに委ねられてきたが、今後はWADA(世界アンチ・ドーピング機関)が公認する第三者機関と業務提携を締結し、今年7月1日から現在UFCと契約中のファイター全員に抜き打ちで薬物検査を実施していくことを決めた。

 陽性反応が出た場合の出場停止期間についても、今まで以上の厳罰が科せられる方針で「2年〜4年間の出場停止処分を課すことも辞さない」(ファティータ氏)という。

前UFC世界ミドル級王者のアンデウソン・シウバ(出典:UFC)
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