横綱・白鵬は本当にヒールなのか “第二の朝青龍”にしてはいけない赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)

» 2015年02月19日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 横綱白鵬がすっかりヒール扱いされてしまっている。大相撲の初場所で大鵬を抜き、単独史上最多の33度目の優勝を全勝で達成した千秋楽から一夜明けた1月26日のことだった。白鵬は「疑惑の相撲が1つあるんですよ。13日目ですね」と自ら切り出すと、その日に同体取り直しとなった大関・稀勢の里戦の最初の一番について「帰ってビデオ見たけど自分が勝ってる相撲だった。子どもが見ても分かるような相撲。もう少し、緊張感を持ってやってもらいたいね」などと審判部を痛烈に批判。さらに「本当、肌の色は関係ないんだよね。同じこの土俵に上がってマゲを結っていることになれば、日本の魂。みんな同じ人間」とまでぶちまけた。

 これに各メディアは即座に反応し、猛バッシングを開始。新聞各紙は「慢心発言・審判を侮辱」「白鵬が偉業を自らの手で汚す」「やはり白鵬は横綱失格」「白鵬は横綱の座を返上すべき。それに該当する重罪」などといった過激な見出しを立てて横綱の発言を批判し、一斉に白鵬叩きを行った。

 騒動を重く見た日本相撲協会は北の海理事長が白鵬の師匠である宮城野親方を厳重注意し、白鵬自身も1月31日にテレビ朝日系『SmaSTATION!!』に生出演して「場所後の件ですが、多くの人々にご迷惑をかけ、ご心配をかけ、お詫びしたいです。そして、これからも頑張っていきます。相撲道の発展のために。ありがとうございます」と謝罪。これで騒動は鎮静化の方向へ動くのではないかと思われたが、それでも横綱への批判は治まらなかった。

 白鵬が公の場に出てくるたびに報道陣が執拗(しつよう)に審判部批判騒動に関する質問を浴びせると、ついに2月8日の大相撲トーナメント(両国国技館)ではあわや丁々発止の事態にまで発展。「審判部にあいさつに行く考えはあったのか」と問われると、それまで無言を貫いていた白鵬が「なにいーっ!」と相手記者をニラみつける一幕があったのだ。この分だと来月の大相撲3月場所(大阪府立体育館)もメディアによる白鵬バッシングは、そう簡単に治まりそうもない。

メディアによる白鵬バッシングは、いつ治まるのか(出典:白鵬オフィシャルブログ)
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