「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由窪田順生の時事日想(2/4 ページ)

» 2015年02月10日 08時00分 公開
[窪田順生Business Media 誠]

「ストーリー」が必要だ

 ご興味のある方はサイトをご覧になっていただきたいのだが、かつて国内のCCFLはシャープの液晶テレビなどのバックライトだけで十分すぎるほどの需要があった。ざっくりと言えば「実用照明をやる必要がなかった」のである。

 そこへリーマンショックが起きたことで液晶テレビ市場がガクンと冷え込んだ。さらに、エコをうたい文句としてLEDもバックライト市場で台頭してきたことで、バックライト以外に生きる道を探さねばならなくなったというわけだ。こうして各社生き残りをかけて実用照明はもちろんネオン看板だったり、さまざまな分野に進出をしているのだが、業界の方は「なかなか厳しい」ともおっしゃっていた。

 失礼を承知で言わせていただくと、私もきついと思う。バックライトのようなBtoB市場であれば、これまでのように技術とコストで勝負ができるが、BtoCの世界で必要不可欠なものがCCFLには欠けているからだ。

 それは「ストーリー」だ。

 LED照明の灯りをうっとりと眺めて「やっぱりこの光は白熱電球には出せないなあ」なんて人ではない限り、消費者のほとんどはLED照明を選択するのは「エコ」だとか「長寿命」だとか「光がコントロールできる」だとかの“実利”がある。つまり、世の中には「LEDに変えたら××という得がある」というストーリーがしっかりと浸透しているのだ。

 そんな状況のなかで、「いや、LEDもいいんですけどウチもなかなかお得ですよ」というセールストークはかなり弱い。同じようなスペックならば世の中にあふれているモノのほうが安心できるという消費者も多いため、完全に埋没してしまうのだ。

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