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» 2015年02月09日 08時45分 UPDATE

サカタカツミ「新しい会社のオキテ」:あなたの会社では、部下の育成は“上司の仕事”ですか? (1/2)

あなたは自分の部下を、どんな視点で評価していますか?「仕事は結果と同じくらいプロセスも重要。部下は失敗しながら成長するもの」という人もいれば「仕事は結果が全て。シンプルに見ないと、他の評価と平等にならない」という人もいると思います。

[サカタカツミ,Business Media 誠]

 「部下を育成するということとはどういうことなのか、だんだんと分からなくなってきました」

 ある企業で取材をしていた時に、インタビュー対象者である30歳代後半の男性管理職が、ふと漏らした言葉です。どういうことですか? と聞いてみると、悩みを打ち明けてくれました。というわけで今日は「意外に気がつかない、でも言われてみれば確かにそんな気がする」お話を少しだけ。

ay_sakata01.jpg (写真はイメージです)

人を育てる、という言葉の意味がよく分からない上司

 「仕事のやり方が分からないと質問されれば、すべて教えます。期初に設定した目標が達成できそうにない部下がいたら、どうすれば達成できるのかを一緒に考えます。当然、対応策も検討しますし、それが実施できているかどうかも確認します」

 わたしはその話を聞きながら、十分頑張っているではないか、と思っていたところ、彼はこんな風に言葉をつなげます。

 「でも、それは『仕事ができているかどうか』を確認し、できるように指導しているというだけに過ぎない気がします。人を育成しているという感じではない。うまく説明できないのですが、違和感を持ってしまうのです」

 では、人を育成するということは、どういうイメージですか? と私が聞いてみると、以下のような答えが返ってきました。

 「単に仕事ができる、というだけではない人を作る、という感じ。いや、難しいですね。人間力を備えさせるというと大げさですけど、もっと総合的な何か、というイメージです」

 わたしはこの管理職の話を聞きながら、ある企業の人事担当者へインタビューしたときのことを思い出していました。急成長を遂げているその企業は、人事評価制度の再設計に着手していました。その中で、ある大きなことに気がついたといいます。

育った風土が違えば、価値観も変わり、違和感も生まれる

 「組織の中の穴の部分、例えば財務についてのエキスパートが欲しいとなったら、まずはその能力があること、それも企業の成長スピードについてこられるだけの高い能力を持っている人が望ましい。採用する企業としては、つい、そのことだけを考えてしまいます」

 しかし、それだけでは不足だったかもしれないというのです。

 「組織が大きくなるにつれて、必要な人を中途採用することになりますから、まったく違った組織風土の中で育った人が、同じ組織に入ることになります。そうなると、仕事に関する考え方も人それぞれになってしまいます。特に育成という観点になると、それが顕著に出るような気がします」

 与えた仕事を完璧にこなせればそれが満点である、という組織風土の中で育った人は、部下もそういう視点でしか見ることができなくなり、評価も「仕事ができたか/できなかったか」という観点になってしまう。

 その上司の下に、仕事は結果も大事だけれども、そのプロセスも重要で、失敗を繰り返しながら成長するべきだ、上司はそれを見守り、サポートし、成長を手助けしなければならないという組織風土に育った部下をつけると、衝突や対立が起きてしまうといいます。

 「部下にしてみれば、どうして上司は自分のことをきちんと見て、ちゃんと指導、さらに評価をしてくれないのかと不信感を持ちますし、上司にしてみれば、歴然とした結果を見て評価をしているのだから、これ以上何を見ればいいのかと、戸惑っているようです」

 ただ仕事ができればいい、上司は部下に結果を出させるのが仕事である、という組織があったと思えば、人間力(この言葉が何を指すのか意味が分かりませんが、ビジネスの現場ではよく使われています)を総合的に身につけさせるのが上司の役割だ、と刷り込まれている組織もある。また、個々にミッションが明確に与えられ、個人の能力であらゆる局面を打開することがベストだと考えられている組織があると思えば、仕事はチームで行う、ともに協力し合い足りないところを補いながら、全体で受け持ったミッションをクリアすることが重要だという組織もあるでしょう。

 ここで難しいのは、「正解はこれだ」というものがないということです。それぞれの組織においての価値観があり、仕事の進め方や育成方針、それに伴う上司の役割は個々に最適化されています。だからこそ、育ってきた環境に左右され、別の場所に移ったからといって、その場所に適応できなくなる人が現れても、不思議ではないのです。

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