LCCのビジネスモデルとは――Scoot CEOインタビュー大手航空会社の傘下でないと難しい?(2/3 ページ)

» 2015年02月04日 13時25分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

LCCのビジネスモデル

――チケットの安いLCCの場合、チケット代以外の収入が重要ですよね。Scootのサイトを見ると、レンタカーやホテルの予約などもできるようになっています。ああいった収入は大きいのですか?

キャンベル: レンタカーやホテル予約はそれほど大きくありません。DutyFreeや食事、荷物の追加料金などが主で、こういった収入が23%。残りがチケット売上です。LCCの場合、(チケット)+αの収入が大切なのですが、これを増やすのはなかなか時間がかかるんです。

Scootのサイトには、大きく航空運賃が書かれている。シンガポールから成田までは148ドル、表記はシンガポールドルなので、1ドル=95円程度(2015年1月)。シートのアップグレード、機内食などはこの価格にプラスする形で購入する。ホテルやレンタカーの予約もこのページから可能

――ここ数年、Scootの売り上げは伸びていますか? ここ数年は黒字、とか、いつ赤字ではなくなった……などの表現でもいいのですが。

キャンベル: 売り上げの数字は公表していません。ただ、(親会社である)シンガポール航空の戦略が変わらない限りは、(LCCで中長距離路線という)新しい市場を作るという今の方針を続けたいですね。

――これまでの機材はシンガポール航空から譲り受けたB777でしたが、新しく導入するB787-9への期待はありますか。

キャンベル: B787は従来機に比べ20%燃費削減できます。運航費の50%近くが燃料費なので、これは非常に大きい。

 また、B787-9は長距離を飛べる飛行機です。米国や欧州では(乗客数の)40%までLCCのシェアが拡大しており、シンガポールでも30%近くが今やLCCです。今や小型機で短い距離を飛ばすLCCだけでなく、もっと長く、中長距離路線を飛ぶLCCの意味が出てきたと思います。(B787-9導入で)機材の数も増えますから、今後はネットワークを広げ、運航頻度を伸ばしていきたいですね。

ビジネス客を取り込む予定は?

――収入を増やそうという目的で、ビジネス客を取り込もう、増やそうという考えはありますか。

キャンベル: ビジネス客を取り込むには、1日1便(以上)の運航が基本です。でもScootの場合、例えばゴールドコースト線がいい例ですが、レジャー用途なのです。週に数便という路線が多いので(積極的にビジネス客を取りに行くのは)難しい。

――なるほど。リピーターを獲得するには何が必要だと思いますか? 例えばマイレージプログラムとか。

キャンベル: まずは(Scootに搭乗して)良い経験をしてもらうこと。そして競争力のある価格です。マイレージプログラムについては、2015年4月にシンガポール航空のマイレージがタイガーエアとScootのチケットに交換できるようになります※。また12月からは、Sccotに乗ったら、シンガポール航空のマイルをためられるようになります。

※注:タイガーエアはシンガポール航空グループのLCC。Scootが長距離なのに対し、タイガーエアは短距離路線が中心。

――マイレージプログラムは、LCCにとっても必須なものなのでしょうか?

キャンベル: そうは思っていません。あればプラスになるし、助かるとは思いますが……。

――LCCビジネスというのは、大手に加わらないとやはり難しいのでしょうか?

キャンベル: メリットとデメリットがあります。大手航空会社のグループに加わるデメリットは、フルサービスキャリアのように振る舞わなくてはいけないというプレッシャーがあるところですね。メリットは機材とか燃料とか(一括で仕入れられる)。あとマイレージシステムに乗れるところとか。

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