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» 2015年01月27日 08時00分 UPDATE

教えて、木村先生! 確定申告あるある:どうしてSuicaにチャージした金額を「旅費交通費」で処理しちゃダメなの?

交通系ICカードの普及によって切符を買うことが少なくなりました。ところでプリペイドカードにチャージした金額って帳簿にはどうやって記入すればいいのでしょうか?

[宮田健, 監修:木村税務会計事務所 税理士 木村聡子,ITmedia]

本記事は参考となる情報提供のみを目的としたものです。実際の申告などにつきましては読者の判断と自己責任でお願いいたします。


 個人事業主ならば、「事業のお金」と「個人のお金」は分けて考えるのが当たり前。かつては「お財布を2つ持て!」なんて言われていましたが、ITが発達した今日ならば、クラウド会計ソフトとクレジットカード、プリペイドカードを使い分ければ便利らしいのです。

 とはいえ現金で会計した方がやっぱり簡単だと思うのですが、実際のところはどうなんでしょうか? 教えて、木村先生!

クラウド会計ソフトを使うのならば、積極的にカードを使いましょう!

――先生、個人事業主が何かを買うとき、現金とクレジットカードのどちらを使うべきなのでしょうか。

木村先生: みなさんはクラウド会計ソフトは使っていらっしゃるかしら? ほとんどのクラウド会計ソフトは、クレジットカードの使用履歴を取り込み、自動的に仕訳される機能を持っています。その点でクレジットカードが便利ですね。

 個人事業主にとって、会計業務は本業ではありませんよね。ですから、なるべく会計は省力化しましょう。クレジットカード使用時の注意点ですが、カードの使用履歴だけでなく、レシートや領収証もきっちりと残すようにしましょう。

――なるほど! ところで、私は個人用のクレジットカードしか持ってないんですが、それでもいいんですか?

木村先生: 1枚のカードで事業用の支出もプライベートの買い物も行っていると、帳簿付けのときにうっかりプライベート分が混ざってしまって大変なことになるかもしれませんよ。事業専用のカードを用意したほうが便利ですね。

Suicaのチャージの落とし穴

――交通系ICカードのようなプリペイドカードも便利ですよね! 私はSuicaに一本化したことで交通費が簡単に計上できるようになりました。

木村先生: ちょっと待って。Suicaの交通費の仕訳、確認してもいいかしら?

――はい、例えば1万円チャージしたときに、こんなふうに処理しています。

チャージした日

旅費交通費 10000円/現金 10000円

木村先生: これはダメですよ! プリペイドカードでよくある間違いですね。

――えっ、でも私のSuicaは事業専用にして、仕事の移動にしか使ってませんから大丈夫ですよね。

木村先生: その考え方が間違いです。カードに現金をチャージした段階で、あなたが「これは仕事のための交通費に使うんだ」と思っていたとしても、実際に何に使われるか分かりませんよね。もしかしたら、駅のホームでお茶を買ってしまうかもしれないでしょう? ですからチャージ額を全額、旅費交通費にしてはダメなんです。

――そう言われてみれば、お茶を買うこともありますね。では、どうやって記録すればいいのでしょうか?

木村先生: 帳簿には発生時点での記録を残すことが大原則。まずは、厳密な仕訳の方法を紹介しますね。Suicaチャージ額を仮払金として記録します。

チャージした日

仮払金(Suica) 10000円/現金 10000円

木村先生: そして実際に旅費交通費として使ったときに、仮払金から振り替えを行います。例えば旅費が500円で、120円のお茶を私用で買ったら……

移動で使った日

旅費交通費 500円/仮払金(Suica) 620円

事業主貸 120円

――ちょっと面倒くさいですね……。

木村先生: では、簡易的な方法をお教えしましょう。Suicaにチャージした全額を個人で使うものとして「事業主貸」にします。会社のお金を、いったん個人用のお金として処理するわけです。

チャージした日

事業主貸 10000円/現金 10000円

木村先生: 同じように旅費が500円、お茶が120円だったとしても、旅費として利用した分だけ事業主勘定から振り替えます。これなら個人で使った分の処理がなくなります。プリペイドカードを使うときは、チャージ額を何に使ったのか「旅費交通費等精算表」を作って、毎週処理するといいですね。

移動で使った日

旅費交通費 500円/事業主借 500円

Suicaの行き先と金額だけでは足りない!

木村先生: Suicaなどの交通系ICカードで旅費を支払ったとしても、もう1つ記録していけなければダメなものがあるのよ。何だか分かりますか?

――Suicaの履歴を券売機でチェックすれば乗降駅と金額が50件(※)まで確認できますよね。念のため毎月記録に残していますが、これ以外となると、うーん……。

木村先生: 正解は「その旅費を使った目的」です。Suicaの履歴から分かるのは「○月○日に、最寄駅から渋谷に行って、いくらかかった」ということだけ。でも、渋谷に行って遊んできたのかもしれないでしょ?

 税務署は「その旅費がちゃんと事業用に使われたのか」ということも確認する可能性があります。そのとき、証拠として「○月○日に、渋谷にあるA社に訪問した」「○月○日に、青山一丁目にあるB社で打ち合わせした」といった記録も必要になるのです。もしもSuicaの履歴を印刷しているのであれば、その横の余白に「A社訪問」「B社打ち合わせ」とメモしておきましょう。

※編集部より:記事公開時に「Suicaの履歴を100件まで取得できる」と記載しておりましたが、正しくは「50件まで」でした。訂正いたします。

ポイント!

  • クラウド会計時代は、証拠が残って連携が自在な「クレジットカード」を活用しよう!
  • SuicaやPASMOなどのプリペイドカードは、チャージ全額を即座に交通費とするのは厳禁!
  • 移動の履歴は「いつ、いくら、何のために」を必ずメモ!

監修:税理士 木村聡子(きむら・あきらこ)

木村聡子

 2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。

事務所名:木村税務会計事務所

住所:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-11-10 ケヤキアパートメント201

公式サイト:KIMUTAX.com


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