なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?窪田順生の時事日想(4/4 ページ)

» 2015年01月27日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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緻密なプロモーション戦略

 コカ・コーラやタバコを例に出すまでもなく、「嗜好品」というのは、イメージ戦略やブランディングが大きく関係している。日本のウイスキーも然りで、世界一の称号を得ることができたのは、竹鶴氏に代表される職人気質のおかげだけではない。『マッサン』では、「鴨居の大将」として人気を誇る鳥井信治郎のようなコテコテの商売人のおかげでもあるのだ。

 世界第2位のウイスキー消費量を誇る巨大市場は「ひたむきさ」だけではつくれないからだ。『ドキュメント サントリー宣伝部』(講談社)なんて本が後にベストセラーになるような、緻密(ちみつ)なプロモーション戦略を持つ企業がいて始めて、世界第2位の市場ができた。清濁併せ呑むという言葉は、そのままサントリーにあてはまる。

 ウイスキーの魅力のひとつも、ブレンドだと言われる。最終工程でブレンダーと呼ばれる名人が20〜40種の原酒を絶妙の配合で混ぜて、あの奥行きのある味わいを生み出しているからだ。

 それは「日本のウイスキー」も同じだ。「リタとマッサン」のような美談だけではなく、「サントリー商法」なんて批判されたイケイケプロモーションや、表示や成分の問題という陰の部分が絶妙なバランスでブレンドされたことで、今の世界一という地位を確立したのではないか。そんなことを考えながら水割りを飲んでみるとまた格別だ。

 ウイスキー初心者にはぜひオススメしたい。

緻密なプロモーション戦略で日本のウイスキー市場は拡大した(写真はイメージです)
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