ファーストリテイリングは売上高5兆円を達成できるのか巨大アパレルの強さ(後編)(2/3 ページ)

» 2015年01月26日 08時00分 公開
[ふじいりょう,Business Media 誠]

売上高5兆円は達成できるのか

ユニクロはベーシックカジュアルに強みを持つ(出典:ファーストリテイリング)

――ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、2020年度に売上高5兆円という目標を掲げています。2014年8月期の売り上げは1兆3829万円となっていますが、その達成は現実的といえるのでしょうか?

齊藤: 正直言うと、私はかなり難しいと思っています。5兆円という規模を達成するということは、世界一のアパレル企業、ファッション専門店になるということ。それを実現するためには、2020年度までに毎年海外で500店舗を出店しなければならない。資金面で出店することは可能ですが、利益を出せるところに出店することができるか。

 さらに店舗を運営できる店長を育てることができて、初めて名実ともに達成できるのではないでしょうか。これまでのペースで、年間500店舗の人の育成は難しいでしょう。

――振り返ると、柳井氏は「2010年度までに売上1兆円」という目標を打ち出して、期限までには実現できなかったものの、2013年度には達成しています。

齊藤: 売上高1兆円という数字に関しては、日本でもその規模の小売業はいくつもあるので、それほど難しい話でないと思っていました。ですが、売上5兆円のファッションチェーンは現在世の中に存在しないので、前人未到の目標。例えばZARA、GAP、H&Mを買収すればいける。それくらいハードルが高い。ただ、10年や20年といったスパンで考えると、できないことではないのではないかと思います。

――期限を2020年度と区切らなければ、5兆円という数字も夢ではない、と?

齊藤: 誰もが着ることができるベーシックなインナーウェアを展開しているユニクロは、トレンド商品が中心のファストファッションチェーンとの比較でどこの国に行ってもマーケットに一番ポテンシャルがあるはずです。2020年度で切らずに、例えば2030年になれば世界一のアパレル企業になっているかもしれません。一定の成長を維持しながら、焦らずに世界一を目指すというのが現実的なのではないか、と思います。

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