消費税の増税や冷夏などの影響を受け、飲料メーカーは苦戦するのではないか――。関係者の間ではそんな声が強かったが、缶コーヒー「BOSS」などを手掛けるサントリー食品インターナショナル(以下、サントリー食品)は、前年を上回る販売実績を残した。
2014年の国内事業の販売数量は4億1500万ケース(対前年100%)を達成し、22年連続で前年を上回った。同社の推定によると、飲料市場は前年比98%に縮小。競合他社が苦戦した中で、なぜサントリー食品は売り上げを伸ばすことができたのか。ブランド別に実績をみると、「サントリー天然水」が前年比11%増と大きく伸ばした。このほか、缶コーヒーの「BOSS」が同6%増。主力4商品(レインボーマウンテンブレンド、贅沢微糖、無糖ブラック、カフェオレ)が堅調だったことに加え、昨年9月に発売した「プレミアムボス」が好調に推移したという。さらに、特定保健用食品(トクホ)の「伊右衛門 特茶」は、発売2年目にして年間1200万ケースを超えた。
では、2015年はどのような形で展開していくのか。1月22日に開かれた記者会見で、同社の小郷三朗副社長が語った内容を一問一答で紹介する。
――2015年の販売計画を教えてください。
小郷: 国内飲料の販売計画は、対前年比101%の4億1740万ケースとしている。この計画は控えめに感じるかもしれないが、弊社は今年の市場を前年比98〜99%と見込んでいる。なので、前年比101%という数字は、市場を上回る計画だと思っている。
大切なことは、数量を追いかけるのではなく、ブランドを強くすること。お客さまが求める新しい価値を持った商品を世の中に送り出す。また、高付加価値の商品を育成する。このことに注力していくつもりだ。
飲料業界は今後、技術のみならず、あらゆる分野でイノベーションが求められていくだろう。過去の市場拡大時を振り返ると、缶がペットボトルに変わったときには容器の競争が起きた。「緑茶戦争」と呼ばれたときには、急須でいれたお茶以上に緑茶のペットボトルをおいしくする中身の競争があった。このように新しい需要を創造し、市場全体を拡大してきた。しかし、昨今は“勝者なき行き過ぎた価格競争”ばかりが話題になって、市場全体が活性化するような出来事が少なくなっている。
今後、日本は人口減少の時代に突入する。イノベーションなき価格競争が続けば、飲料市場全体が縮小する懸念がある。弊社はそうした流れと一線を画し、高付加価値な商品を世に送り出すつもりだ。単年度の売上拡大にとどまらず、市場全体をけん引するために中長期的に投資していく。
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