1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
マクドナルドがマスコミから尋常じゃないほどボコボコに叩かれている。
「メニュー写真と現実の商品があまりに違い過ぎる」などネット上ではかねてよりマクドナルドはバッシングの対象だったが、年末年始くらいから、テレビや新聞までが「相次ぐ異物混入を説明しろ」なんて調子で参戦してきたのである。
そう聞くと、「そりゃポテトから人間の歯とかありえないもん」「SNSの普及によって、異物混入で泣き寝入りしていた消費者の声がマスコミに届くようになったからだ」なんてことをおっしゃる方がいるが、ここまで派手にバッシングされているのは、「異物混入」のせいだけではない。
ペヤングの時もこのコラムで述べたが、外食産業や食を扱う企業では異物混入は一定の割合で発生する(関連記事)。だからそんなもんでいちいちワーワー騒ぐなとか言いたいのではなく、それが現実なのだ。
むろん、それはマクドナルドにもあてはまる。SNSが普及する以前から「マックのハンバーガーに虫が入ってました」なんてタレコミは珍しくない。といっても、しょうもないクレームや悪ふざけも多いので、集団食中毒などよほど深刻な健康被害でもでないかぎりスルーするネタなのだ。
例えば、15年前、オレンジジュースを飲んだ女性が異物で喉を切って出血した。今報じられているゴキブリやらコオロギやらも問題ではあるが、混入物でケガという意味では、企業の責任がより厳しく追及されるケースだ。
折しも雪印乳業の食中毒事件などがあった時期で、マスコミはなにかとつけては「食の安全」を訴えていた。当然、猛バッシングでしょと思うかもしれないが、多くの人の記憶に残っていないことからも分かるようにそんなことはなかった。いくつかのマスコミが紙面の隅っこにベタ記事扱いで報じたくらいで、マクドナルド側が異物が混入するわけがないと責任逃れをしても、目くじらをたてるような者はいなかった。
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