新たなゴールドラッシュ到来!? MVNOはバラ色の夢を見るか神尾寿の時事日想(2/3 ページ)

» 2015年01月07日 08時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

低価格需要に対応しにくい大手の隙を突く

 翻って市場全体を見ると、従来型の携帯電話からスマートフォンへの移行特需は一巡した。スマートフォンの先進性や多用途性を評価し、これまでよりも月々の料金が高くなってもスマートフォンが欲しいというユーザー層は、おおむね移行してしまった。残されているのは、コスト意識が厳しく、スマートフォンに興味・関心があったとしても、月々の料金負担が増えることを強く嫌う層である。

 また、ブームに乗ってスマートフォン移行をしたユーザーの一部も、スマートフォンで使用するアプリ/サービスが定着したり、Wi-Fi活用で通信量を抑える工夫をしたりなどして、通信・通話をあまり利用しないから、もっと月々の利用料を安くしたいという節約志向が広がっている。

 しかし、スマートフォンの低価格需要への対応は、大手の通信事業者が最も苦慮しているところだ。大手キャリア各社は、スマートフォン普及でユーザー一人一人のARPU(Average Revenue Per User:月間電気通信事業収入)が底上げされることを前提にした経営計画を敷いており、スマートフォン移行でARPUが上がらない、もしくは低価格競争でARPUが下がってしまうというのは悪夢のシナリオだ。

 また、大手キャリアが扱うスマートフォンは、とかくコストがつきまとう。とりわけ大きいのが、販促費とサポートにまつわるコストだ。これらはスマートフォンになって携帯電話時代よりも負担が増えている。事業の土台となるコスト構造がまったく異なるので、低価格需要があるからといってMVNOと同じパッケージを大手が作れるかというと、それは難しいのである。

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