売上高3兆7812億円――。コンビニ最大手「セブン-イレブン」の快進撃が止まらない。
2014年4月、消費税が増税されると「成長を続けるコンビニも苦戦するのではないか」という見方が強かったが、いざフタを開けてみると、セブンの一人勝ちが続いている。コンビニ各社が既存店売上高で前年割れを続ける中、セブンは9月時点で26カ月連続でプラス。
また「コンビニ3強」の中でも収益力の差が広がりつつある。1日の1店舗当たりの平均売上高(日販)はセブンが66万4000円なのに対し、ローソンは54万2000円、ファミリーマートは52万1000円にとどまっている。1位セブンと2位ローソンとの間には、実に12万以上の差があるのだ。
セブンが日本で1号店を東京・豊洲に出店したのは1974年。あれから40年以上経つのに、なぜいまでも成長が続いているのか。店内に並んでいる商品をみると、競合他社とそれほど違いはないのに、なぜローソンとファミマは追いつくことができないのか。Business Media 誠で連載中の『ご一緒に“おでん”いかがですか』を執筆されている現役コンビニオーナー・川乃もりやさんに話をうかがった。聞き手は、編集部の土肥義則。
→本記事、後編
川乃: ドイさん、数年ほど前からコンビニの棚が高くなっているのをご存じでしょうか?
土肥: いえ、気づかなかったですね。言われてみると、確かに高くなったような。
川乃: 以前は成人男性の目線くらいの高さでしたが、いまは20〜30センチ高くなったんですよ。なぜ棚を高くしたかというと、品ぞろえを増やしたいから。例えば、棚の高さが目線くらいしかなかったときには、ソースは1種類しかありませんでした。しかし、棚を高くしてからは、ウスターソース、濃厚ソース、そしてPB(プライベートブランド)などが並ぶようになりました。
ソースだけでなく、他の商品の種類も増えているのですが、どういった狙いがあると思いますか?
土肥: お客さんのニーズがあるからでしょう。棚の高さが低いときには「えっ、ウスターソースしかないの? 濃厚ソースを買いに来たのに……」という人も多かったはず。
川乃: もちろんそうしたお客さんを減らして、売り上げをアップしたいという狙いもありますが、コンビニの本部はもっと大きなことを考えています。それは、スーパーの品ぞろえにどこまで対抗できるかなんですよ。スーパーでは買い物をよくするけど、コンビニではほとんどしない……というお客さんを囲い込みたいんですよね。
これまでのコンビニといえば、タバスコを買いに来られたお客さんにも「1種類だけ、あるよ」といった対応でした。タバスコだけでなく、洗剤、虫よけ、しょう油、天かす、ハンカチなど、あまり売れていない商品でも「1種類だけ、あるよ」といった対応でした。「緊急時に上手に使ってくださいね。その代わり、スーパーよりも価格は高いですよ」といった感じで商売をしてきました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング