川乃: その可能性は高いですね。セブンのドーナツがよく売れたら、他社も「ウチもやらなければ」となって、慌てて発売するかもしれない。いや、ひょっとしたら、すでに機材を発注しているかもしれません。
あと、やっぱりセブンの戦略はうまいなあと思いました。
土肥: どういうことでしょうか?
川乃: セブンは「チョコオールドファッション」「もちもちいちごリングドーナツ」「もっちリングドーナツ」など6種類を発売するそうですが、いずれもミスタードーナツの定番ばかり。いや、失礼。セブンは「ミスドのドーナツを真似ていない」ということなので“定番に近いモノ”という表現が正しいですかね(苦笑)。つまり、ド定番を攻めて、ドーナツ市場に参入するわけです。
商品は違いますが、競合他社はちょっと違う動きをすることが多いんですよ。例えば、定番の「ハンバーグ弁当」であれば、ハンバーグをよりおいしくしなければいけません。「よりジューシーにしました」とか「ふんわり仕上げました」といった感じで。しかし、弁当の中にちょこっと入っている「にんじんをおいしくしました」とアピールするんですよ(笑)。
いや、もちろん「にんじんをおいしくする」ことは大切ですよ。でも、そこじゃないでしょう。たまたま「ハンバーグ弁当に入っているにんじんの味を改良しただけでしょう」と思われるかもしれませんが、そうしたケースは他の商品でもあるんですよ。例えば「から揚げ弁当にふりかけを付けました」とか。ふりかけを付けることは大切かもしれませんが、もっと大切なことは「から揚げの味をおいしくする」こと。でも、それがなかなかできないんですよね。
土肥: なぜ、そんな枝葉にチカラを入れるのですか?
川乃: 業界トップを走っていないからでしょう。「セブンがこんな商品を出してきた。じゃあ、ウチも近い商品を出していこう」となった場合、より魅力的に商品をアピールしたくなる。そこで、にんじんやふりかけといった副商材を同時にアピールしようとする。ところが、副商材というのはあくまでも脇役にすぎないのに、いつの間にか副商材をメインにアピールしてしまうんですよ。そうした考えを繰り返していると、ド定番を開発するチカラが低下してくるんですよ。
土肥: 努力の方向が間違っているのですね。
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