川乃: その可能性はありますね。「売り上げはもちろん大切だけど、ウチは『接客』をもっと大切にしている」という方針であれば、他社を無視すべきなんですよ。セブンの生みの親・鈴木敏文さん(同社の会長、CEO)は、競合他社の店舗を見に行ったことがないそうです。本当にそうなのか分かりませんが、なぜ見に行かないのかというと「見に行くと、真似をしたくなるから」だそうなんです。真似をするのではなく、「顧客の立場」で考える必要性を訴えているんですよね。
話をローソンのコンビニコーヒーに戻しますが、「サービスを向上させて、売り上げも伸ばす」ことはものすごく難しいんです。
土肥: それはなぜでしょうか?
川乃: コンビニというのは「効率よくしよう、効率よくしよう」という方針で、これまでやってきました。しかし「サービスを提供しましょう」となると、とたんに「非効率」なことが生まれてくるんですよ。ローソンはコーヒーを手渡しという「非効率」なことに挑戦していますが、個人的には続けたほうがいいと思っています。なぜなら、ここで「やっぱり売り上げも伸びないし、効率も悪いし、セルフサービスにしようよ」となれば、またブレてしまう。そうなると、お客さんはますます「コンビニコーヒー=セブン」という意識が強くなるでしょうね。
土肥: セブンは2015年8月までに、全国のほぼすべての店舗でドーナツを発売すると発表しました。「2015年は、コンビニで“ドーナツ戦争”が勃発する」といった声が出ていますが、セブンの動きについてどのように受け止めていますか?
川乃: 「仕掛け方がうまいなあ」と思いました。ローソンでもファミマでもドーナツは扱っているのに、「専用の機材を置いて、全店で発売する」とアピールしたことで、お客さんは「ドーナツ=セブン」という意識が植え付けられたのではないでしょうか。
土肥: コンビニコーヒーと同じようなことが、ドーナツでも起きるかもしれない?
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