セイコー、シチズン、カシオから出揃った、最新GPSソーラーウオッチを使ってみたどこが違う?(2/3 ページ)

» 2014年12月22日 08時45分 公開
[青山祐介,Business Media 誠]

 この秋に登場した3社のGPSウオッチは、それぞれこのGPSの利用の仕方が異なっているのが面白い。例えば、SATELLITE WAVE F100(シチズン)はGPS衛星から時刻情報のみを受信しているのに対して、ASTRON 8X(セイコー)とOCEANUS G1000(カシオ)は時刻情報と位置情報の両方を受信することにより、「今自分はどこのタイムゾーンにいるのか」を踏まえた時刻補正ができるようになっているのだ。さらにOCEANUS G1000はGPSに加えて標準電波受信機能も備えており、GPSと標準電波の両方で時刻補正を行うのが特徴となっている(標準電波が優先)。

本記事で紹介する最新GPSソーラーウオッチ3機種。左からOCEANUS G1000(カシオ)、ASTRON 8X(セイコー)、SATELLITE WAVE F100(シチズン)

標準電波とGPS、それぞれのメリット

 時刻補正をするときに、シチズンとセイコーは「GPS」、カシオは「GPS+標準電波」を使用していると述べた。これは、GPSと標準電波、それぞれに異なるメリットがあるためだ。

 標準電波を受けて時刻補正を行う時計、いわゆる「電波時計」は各社の時計で実績があるが、この方法には地域的な限界がある。というのも、標準電波の送信所は、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、日本(2か所)と世界に6か所しかなく、その電波の到達範囲はおよそ半径1000〜1500km。この6拠点でカバーできるのは、北米、日本、中国の約半分、欧州と、世界全体から見るとごく一部だ。それ以外の地域では標準電波による時刻補正はできないのである。しかし標準電波は、屋内でも受信できるというメリットがある。また、消費電力もGPSに比べて小さいため、ソーラーウオッチに搭載するのには都合がいい。

 一方、GPSは地球上のほぼすべての地域をカバーしていて、GPS衛星の電波が受けられればどこでも時刻補正が可能だ。ただしその半面、上空が開けた場所でないと衛星から降ってくる電波を受信できないという制限がある。つまり部屋の中では、陽の当たる窓際にでも置かない限り、GPSの電波は受けることができないわけだ。さらにGPSの電波は1.5GHzという高い周波数帯で指向性が強く、屋外であってもきちんと受信アンテナを衛星のある空に向ける必要がある。また、GPSを受信するためには標準電波を受信するより大きな電力が必要となる。そのためGPSウオッチはGPSによる時刻補正は手動による時刻補正を行うか、自動の場合はソーラーパネルに強い光が当たった時、つまり明るい空に時計の盤面が向いたときにのみ、GPSの電波を受信して時刻の補正を行うようになっている。

 ASTRON 8XとSATELLITE WAVE F100が時刻補正にGPSのみを使うのに対して、OCEANUS G1000は標準電波とGPSの両方を搭載することにより、お互いのメリットデメリットを補完して、常に時刻補正ができるようになっている。実際にこの3台を1週間手元に置いて使ってみたが、このときは外出する機会が少なく3台の腕時計はほとんど宅内の机の上に置かれたままだった。そのため、GPSウオッチにとっては空を拝む機会が与えられず、結局1週間時刻補正は一度も行われなかった。その中で標準電波を受けられるOCEANUS G1000は、毎日深夜0時から5時の間に標準電波で時刻補正を行っていたのである。

左からカシオ「OCEANUS G1000」、セイコー「ASTRON 8X」、シチズン「SATTELITE WAVE F100」。数日間宅内に置いた後、それぞれ時刻補正の結果を示したところ、OCEANUS G1000のみが「Y(Yes)」、つまり時刻補正が完了していることを示している。

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