裸一貫で9年ぶり 日本復帰を決意した松坂大輔の“家庭事情”赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2014年12月18日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

自分1人で売り込みをかけていた

 しかしながら、私は「やってくれる」と信じたい。あれだけこだわっていたはずのメジャーリーグの舞台での登板をあきらめ、やむにやまれず国内復帰を決意した松坂の覚悟と姿勢には少なからずとも共感……というよりは同情の思いを抱きたくなるからである。松坂に近い関係者も「どうしても日本でやらなければいけない立場に追い込まれてしまった大輔は、裸一貫になってもう一度原点に立ち返り、再スタートを切る心構えでいる」と何となく微妙な言い回しで評し、こう続けた。

 「実は今回の日本復帰にあたって彼は今まで契約を結んでいた代理人に頼らず、基本的に自分1人で売り込みをかけていた。ソフトバンクだけでなくDeNA、さらに報じられていないが巨人の編成担当者や現場責任者にまで大輔は直接電話をかけて『日本に帰るつもりです』と積極的にアピールし、自ら下交渉を行っていた。

 結局は一番早く興味を示して条件面で最も高かったソフトバンクと話がまとまったが、そもそもメジャーリーグを経験した大輔クラスの大物選手がたとえ下交渉であっても代理人を使わないで直接動くなんて前代未聞。日本球界ではまだまだ代理人を使う日本人選手が多いとは言えず、球団から煙たがられる傾向がある。彼はそのへんの事情を分かった上で、自分が西武(ライオンズ)にいた時のように交渉に際して代理人をなるべく使わないようにしようと考えたのだろう。

 それにしてもあれほどの実績があるにも関わらず自分で直接セールストークを展開するなんて、普通ならばプライドが邪魔をしてなかなかできることではない。恥も外聞もかなぐり捨てての相当な覚悟の表れと見ていいし、言い方を変えれば切羽詰まって必死になっているとも分析できる」

 以前、Business Media 誠で『松坂大輔がどんなに落ちぶれても「メジャー」にこだわる3つの理由』という記事を書いたことがあった。ボストンの自宅で生活する3人の子どもの養育費は、年間で1人当たり約7〜8万ドルかかるとも言われている。高額な養育費を稼ぐために、松坂はがんばり次第で一獲千金が狙えるメジャーリーグで石にかじりついてでもプレーする願望が強いことを同記事で記述したが、結局のところ彼が置かれた米球界での状況は一変。今オフは所属先のメッツからFAとなって新たな移籍先を探していたものの、例年になくストーブ市場が冷え込んで動きがにぶく、メジャー契約どころかマイナー契約でも自身の獲得に興味を示す球団がなかなか現れなかった。

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