社長から“ダメ出し”100回以上! 別格「日本冠茶」完成までチョー大変仕事をしたら“緑茶”が売れた(3/6 ページ)

» 2014年12月03日 08時20分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

従来の発想の域

工藤さんは別格「黄金鉄観」も開発した

工藤: 通常の商品は価格が決まっているので、そこから引き算で開発するんですよ。例えば、価格は140円なので、茶葉の予算はこのくらいで……といった感じで。でも「別格」は採算度外視。この茶葉を使いました、この製法で作りました、なので価格は○○○円といった発想なんですよ。

 ただ、従来の発想の域を越えることがなかなかできませんでした。140円で売る商品をつくっていたので、自分で勝手に壁を設けてていたんですよね。それでもなんとかつくって、社長に試飲してもらいました。価格は140円を少し高めに設定したところ、社長からは「こういうモノではない。過去の経験をとっぱらえ」と言われました。

土肥: で、どうされたのですか?

工藤: チームの仲間と「本当においしい緑茶って、なに?」といったことを議論して、原点から見直すことにしました。緑茶の研究を長くしてきた影響なのか、議論の中で自分の考えが凝り固まっていることを痛感させられました。そして「手に入らない」と言われてきた茶葉を集めて、ひたすらテストを行いました。

土肥: いいモノが見つかった?

工藤: 「日本冠茶」のテーマは「とろみ」と「うまみ」。この2つを感じてもらうために、鹿児島県や福岡県といった九州産の茶葉を中心に使うことにしました。ただ、「とろみ」が強ければ「うまみ」が弱くなって、「うまみ」が強ければ「とろみ」が弱くなって、なかなかうまくいきませんでした。そこで製造条件を見直し、より「とろみ」と「うまみ」がバランスよくでる製法にしました。

土肥: 具体的にはどのように?

工藤: 抽出方法を工夫して、「とろみ」を出すようにしました。緑茶の「うまみ」は低い温度で出てくるので、45度という低温で抽出することにしました。また、フタを開けたときに緑茶のいい香りが漂うように、茶葉を弱い火で調整しました。

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