便利なはずの自動水栓が人々をイライラさせる水が出たり、出なかったり(1/2 ページ)

» 2014年12月02日 18時12分 公開
[日沖 博道,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 世の中にある「せっかくなのに惜しい!」または「やらなきゃいいのに」というモノを取り上げ、なぜそうなってしまうのか、改善法はあるのかを考えたい。そのトップバッターは、最近ほとんどのビル・商業施設の洗面所に設置されている、センサー付きの自動水栓蛇口だ。

 あの、手を差し出すと水が流れ、手を引っ込めると水が止まるタイプの蛇口。直前にどこの誰が触ったか分からない公衆の場ゆえ、ハンドルをひねることなく水が出てくるというのは、何ともありがたい代物です。いかにも潔癖症の日本人が好みそうなモノであり、おしり洗浄機能付きの便器と並んで、「ハイテク・ニッポンの象徴」と称賛する外国人の声を何度か聞いたことがあります。発展途上国はもちろん、欧米諸国でもこれほどの普及はないようです(そもそも日本発の発明だったそうです)。

 実は施設側が推進する最大の理由は節水です。ハンドルをひねる従来型だと、水を出しっぱなしにする平均時間がどうしても長くなる上、ハンドルをひねり過ぎてすごい勢いで水を出したり(それであたり一面を水浸しにすることもあります)、うっかり締め忘れたりする人がどうしてもいます。ビル・商業施設ではトイレ洗面所の使用人数が多いですから、それらの水の無駄遣いが積もり積もってしまうとそのコストは無視できません。水道料金は意外と高いですから、自動水栓への取替コストと作動のための電気代を考えても、節水メリットのほうが大きいと判断されるようです。

 こうしたメリットの大きい自動水栓蛇口ですが、あくまで「きちんと動けば」の話です。手を差し出しても位置が悪いのか、水がなかなか出てこない、なんてのは日常茶飯事です。手を差し出しても水が出ないのに、引っ込めるタイミングで出てくる。逆に勢いよく出過ぎて袖口を濡らしてしまった、といったことでイライラした経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

 石けん水をつけて手を洗っている最中にセンサーが反応して水が飛び出す……。これじゃあ節水にならないぞ、と思うこともありますよね。洗面所でお化粧直しをする女性には、ヘンなタイミングで水が飛び出してきて服を濡らされた経験がある人も少なくないようです(想像するに、鏡に顔を近づけるタイミングで体の一部にセンサーが反応し、水が飛び出すのでしょう。これは別の問題です)。

手を洗っているときにセンサーが反応して水が……(写真はイメージです)
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