経営努力とは関係なく、事故と災害のおかげで“金食い虫”となった信楽高原鐵道。しかし、それに対して甲賀市や滋賀県は廃止とせず存続へ向けて努力している。その背景には、「びわこ京阪奈線構想」がある。信楽高原鐵道と近江鉄道の線路を改良し、信楽から京都府京田辺まで新線を建設。JR西日本の片町線に直通する構想だ。京田辺駅では近鉄京都線とも乗り換えが可能になる。
びわこ京阪奈線構想には、近江本線沿線の活性化、大阪圏郊外としての開発効果、第2東海道線としてのバイパス機能という効果があるとされている。「びわこ京阪奈線鉄道建設期成同盟会」は、滋賀県のほかに沿線の10の自治体が参加している。この構想には信楽高原鐵道が必要であった。
この構想が実現すると、信楽高原鐵道の未来は明るい。しかし実現性は未知数である。現状では夢を見るより、現実的な収支改善策を講じる必要がある。
信楽高原鐵道にとって、いや、各地のローカル鉄道にとって、存続に必要な要素は2つだ。1つは「観光面で地域のシンボルとなり、地域外からの誘客をする」こと。信楽高原鐵道自体が赤字であっても、各地から信楽高原鐵道に観光客が訪れると、沿線にお金を落としてくれる。もう1つは、「実用的なダイヤを設定して、地域の人々に利用してもらう」ことである。通勤、通学、通院などに最適なダイヤを設定して、生活手段として認知してもらう。その地域の人々にとって必要な存在ならば、自治体が支援して残す価値がある。
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