プロ野球の契約更改には、3つの問題がある赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

» 2014年11月27日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

代理人を使いづらくしている理由

 密室であるからこそ、いつまで経っても浸透しないものもある。2つめの問題点は、メジャーリーグのように日本プロ野球界でも2000年オフから導入されるようになった「代理人制度」だ。だが球団との契約において日本人選手にも代理人を立てて交渉することが認められているにも関わらず、今もまだ根付いているとは言い難い。その根源として、大事な契約交渉時に第三者が間に入ると球団と選手との信頼関係が損なわれかねないという旧態依然としたムードが日本球界内に残っていることが挙げられる。

 このように選手が代理人を使いづらい雰囲気を作り出しているのは各球団側だ。できる限り年俸などの条件面を低く抑えたいとする球団側にとっては、選手との交渉時にその道のプロである代理人が出てくれば明らかに不利となる。だから球団側は「代理人は日本弁護士連合会所属の日本人弁護士に限る」「1人の代理人が複数の選手と契約することは認められない」などといった諸々の条件をつけ、同制度の利用を抑制化している。

 とはいえ、これには大きな矛盾がある。同じ日本プロ野球でプレーしている外国人選手やメジャーリーグなどから復帰する日本人選手に関しては、複数の顧客選手を抱えるメジャーリーグ選手会公認代理人など弁護士資格を持たない代理人を交えた交渉が半ばなし崩し的に平然と行われている点だ。これを踏まえ、日本プロ野球選手会は日本人選手でもメジャーリーグ選手会公認代理人による代理人交渉を全面的に行えるように強く要望しているが、球団側はなかなか首を縦に振ろうとはしない。

 この矛盾の解決は今後も大きなテーマとなるはずだが、その糸口を見出すのは現状からすれば非常に難しいと言わざるを得ないだろう。代理人制度の観点から考えれば、やはり日本のプロ野球選手たちは球団側のご都合主義に振り回されている感がどうしても否めない。

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