借金には2つのパターンがある――悪い借金をする人がハマる落とし穴新連載・お金もセンス(4/5 ページ)

» 2014年11月27日 08時15分 公開
[森永賢治,Business Media 誠]

借金には「良い借金」と「悪い借金」がある

 さて、前述した「恥ずかしい」「人に見られたくない」という心理であるが、これは、ライトなうちは「借金」への“抑え”としてうまく機能してくれている。ところが、なんとそれが、ヘビーユーザーへ進化する大きな“元凶”でもあるのだ。その点をこれから詳しく述べていきたい。

 「貧すれば鈍する」――。これは、私の父親が生前よく口にしていた言葉である。幼い頃から何度も聞かされた。皆さんもご存じだと思うが、これは「貧乏すると毎日その生活のことばかり考え、才知が鈍ったり品性が下落したりする」という意味で、「お金の心配は、心までも貧しくするのでくれぐれも気を付けよ」といった人生訓である。

 特に、昔は「貧する」人が多かったこともあり、その中でこころ気高く生きよ、というエールでもあったのかもしれない。実は、この言葉を再び思いだしたのは、キャッシング多重債務者のインタビューを行った時である。

 借金には「良い借金」と「悪い借金」がある。「良い借金」とは、“前向きで計画的”な借金である。良い人生を築くための先行投資といってもよい。借りることで、目の前の課題を乗り越え、チャンスを生かすことができる、そしてそれを自分の身の丈で計画&実行できることである。その場合、その人が、お金持ちか貧乏であるかはあまり関係ない。その人の意志と性格により「よい借金」になる。

 逆に「悪い借金」とは、今の快楽や目先の問題に感覚的に振り回され、無計画に、そして身の丈を越えて抱え込んでしまった“負債”である。インタビューでは、もちろん前者もいたが、後者「悪い借金」の道へと進んで行った人も何人かいた。彼らを例に借金心理のダークサイドを覗(のぞ)いてみたい。

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