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» 2014年11月21日 08時00分 UPDATE

今さら聞けない確定申告:年末調整って何を調整しているの?

いつも12月の給料は少し多めにもらえる気がする。それは気のせいではなくて、年末調整で戻ってきた税金かも……。

[Business Media 誠]

本記事は参考となる情報提供のみを目的としたものです。実際の申告などにつきましては読者の判断と自己責任でお願いいたします。


 今年もあと1カ月ちょっとで終わります。この時期、ほとんどのサラリーマン(給与所得者)が「年末調整」の書類を書かされていることでしょう。これって何のためにやるの? そもそも、何を調整しているの?

 そのヒントは、毎月もらっている給与明細書にあります。「控除」と書かれた欄には、健康保険料や雇用保険料、社会保険料などと並んで「所得税」という項目があるはず。控除とは「差し引く」という意味。つまり、サラリーマンは所得税を毎月天引きされているわけです(所得税の源泉徴収)。

 ところが、この「天引きされた所得税」の金額がズレているわけです(間違っているわけでもないのですが……)。だから、1年の最後の給与支給日に「本来、支払うべき所得税額」を計算して、その差分を調整しましょうというルールが年末調整の正体。では、なぜこの作業が必要なのでしょうか?

なんで所得税額にズレが生じるの?

所得税

 そもそも所得税は、その年の1月から12月までの収入の合計金額を基に算出します。つまり、支払うべき所得税額は1年が終わるまで分かりません。そこで会社は、国税庁が公開している「給与所得の源泉徴収税額表」を使って、支払う給料とその人が養っている家族の人数から「だいたいこのくらい」という金額を求めて天引きしています。「だいたい」なので、どうしてもズレが生じますね。

 このとき、「養っている家族の人数」は、1年前の年末調整のときに出した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、通称「マル扶」を参照しています。もしも、今年の年末調整の書類が手元に残っているのであれば年号を確認してみてください。きっと「平成27年分」と書いてあるはずです。

 昨年末に「マル扶」を提出してから、養っていた親が死亡したとか、働いていた奥さんや旦那さんが仕事を辞めたとか、シングルマザーやシングルファーザーになった「異動」があれば、注意が必要です。その都度、会社に申請していれば大丈夫だと思いますが、もしも申請していないようであれば総務に確認すべきです。天引きする所得税額が正しく計算されていないため、金額にズレが生じる可能性があります。

マル扶 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

 ほかにも大きなズレが生じる要因があります。それは、生命保険や地震保険への加入や、働いている配偶者の収入が一定金額以内の場合に受けられる優遇措置が天引き時には考慮されていないこと。これらの申請は「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」、通称「マル保」で行います。こちらは今年の加入状況などを申請するため「平成26年分」になっています。

マル保 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

 このようなズレを調整した結果、多くの人が12月の給料で「還付金」という形でお金が戻ってきます。

年末調整の書類を出さなかったら?

お金

 そもそも論として、何らかの収入がある人は確定申告をして支払うべき所得税額を確定しなければなりません。ところが、日本のサラリーマン人口は正規雇用者だけでも約3327万人(出典:総務省「労働力調査 平成26年9月分(速報)」)。それだけの人が翌年3月に税務署に押し寄せてくるとなれば作業が終わりません。そこで、所得税の天引きと年末調整をすれば、確定申告をしなくてもいいことになってします。

 ただし、「しなくてもいい」のであって「しない」ではありません。年末調整を行ったサラリーマンであっても確定申告をしたほうがいい人が存在します。

 災害や盗難などで資産に損害を受けた場合の「雑損控除」、自分や家族の医療費が10万円以上になった場合の「医療費控除」、国や地方公共団体、公益を目的として特定の要件を満たす団体などに一定の寄附金を支払った場合の「寄附金控除」などの優遇措置は、確定申告をしなければ受けられません。

 また、「住宅ローン控除」を受ける人も初年度だけは確定申告が必要です。そのほか、年末調整で申請し忘れたものがあれば確定申告で対応可能です。

 なお、1年の最後の給与支払日までに書類を出さなかった人は年末調整の対象にならないので、天引きされた所得税が支払うべき所得税よりも多かったとしても還付金は戻ってきません。2つの書類のうち「マル扶」は扶養家族がいない独身者でも「扶養家族はいません」という意味で申告するものですから出し忘れないようにしたいものです。

 万が一、出し忘れちゃったら? まずは総務に相談です。翌年1月31日までなら年末調整のやり直しで対応できるかもしれません。それを過ぎてしまっていても確定申告をすることで支払い過ぎた所得税を取り戻せます。

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