自治体首長選挙公約に変化あり! 「鉄道存廃」から「活性化」へ杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)

» 2014年11月21日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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白山市長選挙――北陸鉄道へ観光列車を導入

 石川県の白山市長選挙は山田憲昭氏が現職を破って初当選。両候補者とも北陸新幹線白山車両基地の観光活用や白山駅設置などをアピールしていた。山田氏の公約には「北陸鉄道石川線を活用したイベント、観光列車の導入」がある。

 北鉄石川線は金沢市街の野町駅と白山市の鶴来駅を結ぶ。かつては観光名所でもある白山比め神社の付近、加賀一の宮駅まで延びていた。しかし業績不振により2009年に鶴来〜加賀一の宮間が廃止。現在は残った路線の活性化施策として夏季のビール列車や冬のおでん列車を走らせている。どちらも通勤電車に長テーブルを取り付けた簡易な仕掛けだ。観光列車として専用車両が投入されると活性化に弾みが付くだろう。白山比め神社だけでなく、獅子吼高原もレジャースポットとして良いところだ。活性化成功の暁には加賀一の宮駅の復活を目指してほしい。

獅子吼高原「パーク獅子吼」から鶴来駅を望む 獅子吼高原「パーク獅子吼」から鶴来駅を望む

ひたちなか市長選挙――ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸

 茨城県のひたちなか市長選挙は現職の本間源基氏が当選。4期目に入る。2期目と3期目は無投票で、12年ぶりの選挙戦。対立候補との得票差は1793の僅差だった。本間氏は、茨城交通が湊線の廃止を表明した際に第3セクター方式で鉄道存続を決定。民間から社長を公募した。新生ひたちなか海浜鉄道は東日本大震災での被災といった危機を乗り越え、地元有志による「おらが湊鐵道応援団」と連携して再生した。

 本間氏の公約には、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸計画がある。現在の終点、阿字ヶ浦から、国営ひたち海浜公園へ至るルートだ。国営ひたち海浜公園は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の開催地としても有名。秋のコキアの紅葉も人気がある。延伸計画は鉄道の可能性を信じた本間政策の集大成と言えそうだ。

ひたちなか海浜鉄道の現在の終点「阿字ヶ浦駅」 ひたちなか海浜鉄道の現在の終点「阿字ヶ浦駅」

 かつて選挙戦での鉄道に関する公約と言えば、赤字第3セクターの存廃問題だった。今は活性化を掲げる候補が目立つ。鉄道ファンとしては本当に嬉しい。鉄道の可能性を信じる地方のリーダー諸氏に、ぜひ成功へ導いていただきたい。また、衆議院選挙では整備新幹線延伸予定の地域、リニア中央新幹線の名古屋〜大阪関連地域の候補者が掲げる公約とその得票に注目だ。



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