若者向けの発泡酒「キリン フレビア」はどのようにして開発されたのかレモンの香り(2/3 ページ)

» 2014年11月21日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

コミュニケーションツールのひとつ

――フレーバービールの消費量が最も多いのはドイツ。国内市場の7%ほどを占めているそうですね。このほか、米国、ロシア、スペイン、フランスなどでも一定の市場規模がありますが、日本ではまだまだ。

土屋: 弊社でもフレーバービールを開発したのは初めて。社内からは「ニッチな市場だな……」と後ろ向きの意見が多く、なかなか商品化に踏み切ることができませんでした。実際に発売しても、スーパーやコンビニなどの棚から2〜3週間で消え去るかもしれない。リスクが大きくてなかなか実現できなかったのですが、今回はセブン&アイ・ホールディングスとタッグを組むことができたので、腰を据えて商品開発することができました。

――セブン-イレブンでしか買えないビール「グランドキリン」(現在では他のコンビニでも購入可能)がヒットしました。特に、都市部で売れているそうですね。今回は、セブン&アイと手を組むことになりましたが、商品化にあたって何かアドバイスがあったのでしょうか?

土屋: たくさんの商品を扱われている中で、いまどんな商品が売れているのか。情報をたくさんお持ちなので、商品化にあたって参考にさせていただきました。例えば、かつて瓶の飲料は苦戦していましたが、最近は売れていることが分かってきました。また、若者の購買行動についてさまざまな知見をお持ちなので、参考にさせていただきました。

――商品開発にあたって、どの点に苦労しましたか?

土屋: 多くの若者を調査したのですが、その意見が本音なのかどうか、といった判断が難しかったですね。嘘をついているのではないか、といった疑いをかけているのではなく、グループインタビューを行うと、どうしても意見の強い人に引っ張られる傾向があるんですよ。例えば、ある人が「このビールおいしい!」という声があったら、その場にいた人も「うん、おいしい」と続く。でも、本音は違うかもしれない。その部分を見極めることに苦労しました。

 また、味だけでなく、スタイルを気にしている人が多いことも分かってきました。「自分は既存のビール、ワイン、焼酎が好きですね」としながら、「新しいモノも好き」とも話される。おいしいか、おいしくないか、という基準ではなく、若者の間にはアルコールは「コミュニケーションツールのひとつ」になっていることが明らかになってきました。

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