これを踏まえると、上司の言葉遣いが次のように変わります。
「△△さまから、おまえとの打ち合わせについて、オレにまで確認のメールがあったぞ」
「□□さまから、昨日だけで何本電話をもらった?」
つまり、「こんなことをされているということは、信頼されていないということだぞ」ということであり、さらにいえば、「こういう確認の回数を減らすために、具体的な方法を考えて実行しろよ」ということになります。
「信頼されるようにする」のと「メールや電話の本数を減らしてもらえるようにする」。どちらが取り組みやすいかは、一目瞭然です。なぜなら、後者は、まずはメールの書き方や電話のかけ方から始めればよいからです。そうした一見小さなことをコツコツと積み重ねた末に勝ち取ったものを「信頼」と呼ぶのではないでしょうか。
「信頼」→「確認の数が少ない」
ここでも、たったこれだけの言葉の変化が、人や組織の動きに大きな変化をもたらす可能性を大いに含んでいます。
以上、「分かる」「新しい」「信頼」というキーワードをもとに、まずはアクション言語の感触をつかんでみました。お気づきかもしれませんが、「分かる」→「新しい」→「信頼」と、後ろにいくほど、よりあいまいで、ついイメージで使ってしまいがちな言葉を選んでみました。「ふわふわ言葉」のふわふわ度がそれだけ高く、だからこそ、相手が動かない可能性がより高いということです。
ここまで出てきた3 つの言い換え例をあらためて並べてみましょう。
「分かる」 → 「自分ひとりで再現できる」
「新しい」 → 「これまでにない組み合わせ」
「信頼」→「確認の数が少ない」
言い換えた後の言葉遣いを見れば、誰でも思いつくような、ありふれた言葉ばかり。でも、コミュニケーションの現場は、待ったなし。その瞬間に言い換えることができてこそ、武器となります。
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