新しい企画ってどこが「新しい」の?なぜ、あなたの言葉は伝わらないのか?

» 2014年11月19日 05時00分 公開
[黒川裕一,Business Media 誠]

集中連載「なぜ、あなたの言葉は伝わらないのか?」について

本連載は黒川裕一著、書籍『人を動かす言葉の技術』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。

上司に提案をしても通らず、後輩に何を言っても気の抜けた返事ばかり。努力のわりに、相手が動かない――、そんなことはありませんか?

相手が動かないのは、やる気がないわけでも、あなたのことが嫌いなわけでもありません。言葉には「相手が動く言葉」と「動かない言葉」があるのです。

今日からは、「これ、分かった?」ではなく「これ、次は1人でできる?」と言いましょう。自分の考えを100%伝えきる「アクション言語」が身につく1冊です。


「何か、新しい企画もってきてよ」

「新しいアイデアないの?」

 仕事とは提案であり、提案には「新しさ」が求められるもの。ところが、「新しいものをもってこい」と言われても、そう簡単にはもっていけません。「新しいものなんて、そんなに簡単に思いつくわけないよ……」という不満が心の中を渦巻いて、ストレスになっていきます。一方、指示を出した側も、出された提案を見て、「何だこれ、ちっとも新しくないじゃないか!」とイライラするのがオチです。

 ここでも、新しい提案が出にくいのは「提案者のやる気のなさ」が一番の原因ではありません。「新しい」という言葉自体があいまいすぎて、「何をどうすれば“新しい”のか」が見えないのです。

 そもそも、まだそこにないこそから「新しい」わけで、この言葉をどれだけ連呼しても何も見えてこないのは明らかです。命令文にしてみると、いかに不毛であるかが、ひと目で分かります。

 そこで、アクション言語の出番。下の図のエリア3に「新しい」という言葉を置き、これを言い換えることによって、1へと移動させてやればよいのです。

 では、図の「???」には、何が入るでしょうか? 仮に、「これまでにない組み合わせ」と言い換えてみてはどうでしょう?

 例えば、食べ物ならば「焼きそば+パン=焼きそばパン」。機械ならば、「コピー+プリンター+FAX+スキャナー=複合機」。最近は空気清浄器にもなる掃除機があるそうです。

 逆に古いところでは、消しゴムのついた鉛筆。実物を見てしまえば「こんなものでいいのか」と言いたくなりますが、こうしたものも、誰かこの組み合わせを新しく思いついて形にした人がいたからこそ、爆発的なヒットを生んだのです。

 提案する立場になってみましょう。漠然と「新しいアイデアを10個もってこい」と言われるのと、「これまでにない組み合わせを10個もってこい」と言われるのでは、どちらが取り組みやすいでしょうか?

 断然、後者でしょう。なぜなら、組み合わせさえ新しければよいので、すでに目の前にあるものを適当に選んで組み合わせればよいからです。いまここで適当に挙げてみても、「自動車+書斎」「ボールペン+はさみ」「本+枕」など、いくらでも出てきます。

「新しい」→「これまでにない組み合わせ」


 指示を出す側の言葉遣いの変化は、たったこれだけです。

 でも、実際にこうすることで、指示を出された側の動きやすさも、そこから生み出される結果も、まるで別物になるのです。

著者プロフィール:

黒川裕一(くろかわ・ゆういち)

ひなみ塾塾長。1972年生まれ。熊本市出身。

東京大学法学部卒業後、22歳で渡米。テネシー州立メンフィス大学大学院にて助手(コミュニケーション学・映画専攻)を務めつつ映画制作に従事し、現地映画祭にて入選。
帰国後、故郷の熊本にて「自ら気づき、仲間と学び、社会で動く」ことのできる人財の育成を目的に活動。基幹事業の1つであるコミュニケーション講座「ことばの学校」にて、頭で分かり体で実行できる言葉「アクション言語」の指導を開始。
2005年、その実践の場の1つとして「映画革命HINAMI」プロジェクトを始動。
2007年、ことばの学校の進化形として、私塾「ひなみ塾」を設立。


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