「競合エアラインに後れを取るな」 ANAが2年前に新設した組織の狙いビジネス変革を推進(1/3 ページ)

» 2014年11月18日 08時00分 公開
[伏見学,Business Media 誠]

 日本の“トリトンブルー”が世界中を力強く羽ばたいている。

 2014年3月に羽田空港の国際線発着枠を新たに11枠獲得したこともあり、国際線を中心に事業規模を拡大させている、航空会社大手の全日本空輸(ANA)。10月30日に発表した2015年3月期 第2四半期決算によると、グループ全体の売上高は前年同期比で9.1%増の8548億円、経常利益は同78.2%増となる357億円に上った。

部門横断でビジネス改革を進めるため新組織を作ったANA 部門横断でビジネス改革を進めるため新組織を作ったANA

 実はこのANA、競争力を高めるために、近年は社内向けに対してユニークな施策を矢継ぎ早に打ち出すことで、日々の仕事の活性化に取り組んでいるのだ。

 その一例が「6000人の客室乗務員にiPadを配布」したこと。エアライン業界で先駆けて2012年4月に始めたこの取り組みは大きな注目を集めた。話題性にとどまらず、iPad導入によるコスト削減効果はトータルで年間約2億円に上るなど、経営上のメリットも強くアピールした。

 このプロジェクトの黒子役となったのが、2年ほど前に新設された「業務プロセス改革室」だ。ANAのビジネスの根幹を支えるITを主管する部署として、業務システム全体を統括するとともに、部門横断的に「顧客視点での新サービスの企画」「グループ全体の業務プロセス改革」を推進する役割を担う。

 この業務プロセス改革室の前身に当たるのは「IT推進室」で、情報システムの老朽化更新やインフラ整備・保守運用、各ビジネス部門からのIT開発要望に対する個別対応などを担当していた。一般の企業で言うところのIT部門である。なぜ名称変更とともに役割が大きく様変わりしたのか。

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