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» 2014年11月17日 00時00分 UPDATE

アナリスト解説:ヤマダ電機、王将と中国撤退相次ぐ やはり原因は「現地化」?

勢いよく中国に進出した日本の大手企業がこのところ相次いで撤退、事業縮小を続けている。日中関係悪化などの影響も大きいが、成功の鍵は変わらず「現地化」にあるようだ。

[伏見学,Business Media 誠]

 外食チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスが、中国の子会社である王将餃子(大連)餐飲有限公司を解散すると10月31日に発表した。国内での実績を引っ提げて2005年1月に中国・大連市に意気揚々と乗り込んだ餃子の王将だったが、9年で完全撤退を余儀なくされた。

日本では人気の「餃子の王将」だったが……(写真はイメージです) 日本では人気の「餃子の王将」だったが……(写真はイメージです)

 2013年には、家電量販店大手のヤマダ電機が南京店と天津店を続けて閉店し、現在は瀋陽に1店舗を残すだけになるなど、大手日本企業が相次ぎ中国で苦戦を強いられている。

 およそ30年前に中国が改革開放路線に転換して以来、日本企業の中国展開が本格化し、大規模メーカーから今や小売・流通、サービス業まで幅広い業態の企業が進出している。しかし、商習慣の違いや国内および他の海外企業を巻き込んだ市場競争の激化といった理由でビジネスに失敗する日本企業が後を絶たない。

 近年は日中関係の悪化に伴う「反日的な不買運動」などが強く関係していると言われているが、海外ビジネス成功の可否を決める根っこには、地元の消費者ニーズをくみ取った「現地化」がある。

 現地化の重要性について、中国マーケットに詳しいアビームコンサルティング 執行役員/プリンシパル リテール・サービスセクター長の梶浦英亮氏は、先に述べた2つの企業の失敗を例に説明する。

日本式の中華料理が原因ではない?

 まず、ヤマダ電機に関しては、1つに「商品調達網の未整備」を挙げる。

中国進出する企業にとって「現地化」は永遠のテーマか(写真はイメージです) 中国進出する企業にとって「現地化」は永遠のテーマか(写真はイメージです)

 「価格競争が激しいPCやカメラ本体だけでなく、アクセサリーを中心にスペースを確保する日本の店舗と同じ売り場構成となっていたが、そこに並ぶ商品は日系メーカー製品が多く、中国の平均的な価格帯からすると数倍も高価だった。加えて商品デザインやパッケージなども中国人の好みとはかけ離れたものばかりだった」(梶浦氏)

 もう1つは「資本力」だという。「消費者物流(宅配網)が不十分な中国では、自社で物流施設を保有することが多く、大規模投資を繰り広げて物流網を建設している。インターネット通販も大規模なプロモーションで各社が消耗戦を繰り広げる中、ヤマダ電機は実店舗数店とインターネットという中途半端な投資で過競争市場に参入するのは無理があった」と梶浦氏は考えを示す。

 次に、王将フードサービスの中国撤退に関してだ。決算会見で同社の渡辺直人社長は「日本の餃子の味が中国で受け入れなかった」と敗因を述べている。水餃子が主流の中国において確かに焼き餃子は馴染みが薄い。同様に、上海に出店した大阪王将も撤退している。

 その一方で、上海にある日本式中華料理店(中国資本)は大繁盛しているという。「日本の中華料理というコンセプトは問題ないが、商品や接客などのローカライズマーケティングで差が出たのでは」と梶浦氏は見ている。

中国で商品を開発する

 一方で、このような現地化を重視した施策を打ち出している日本企業もある。例えば、大手下着メーカーのワコールは、2002年に上海に「中国人間科学研究所」を設立し、中国人女性の体型測定から、感覚、生理、心理、ライフスタイルまでの研究を行い、商品開発につなげている。

 また、化粧品メーカー大手の資生堂も売り上げ拡大を図るために、今後、中国市場向けの商品開発機能を上海に移転するとされている。

 梶浦氏は「市場を丁寧に見て、それぞれのセグメントで需要を拾い上げて商品開発するのは、本来、日本企業のお家芸と言える。現地の裁量に任せ、現地のニーズをくみ取る仕組み作りを構築する企業が中国で成功する傾向にある」と力を込めた。

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