「分かる」は意外と分かりにくいなぜ、あなたの言葉は伝わらないのか?(4/4 ページ)

» 2014年11月17日 05時00分 公開
[黒川裕一,Business Media 誠]
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「ちょっと自分1人でやってみて」

 では、図の右上、エリア1の「???」には何が入るでしょうか。答えは1つではありませんが、例えば、「自分1人でそれを再現する」はどうでしょうか。

 「自分1人で」にも「再現する」にも、「分かる」のようなあいまいさはありません。「自分1人で」とは「人の力を借りることなく」ということですし、「再現する」とは「まったく同様に繰り返す」ということです。これは、誰が聞いても「分かる」はず。

 次に、これを命令文にしてみましょう。

 「自分1人で再現しろ」

 これは、体で実行できます。再現してみた結果、それができれば「分かっている」、できなければ「分かっていない」と、上司にも部下にもはっきり分かります。分かっていればそれでよし。分かっていなければ、再現できていない箇所をもう一度確認すればよいのです。「分かる」と比べてどちらが効率的か、誰の目にも明らかではないでしょうか。

 つまり、「分かったか?」と聞いてしまいそうな場面では、この言葉を発する代わりに、「ちょっと自分1人でやってみて」と促すほうが、自分にとっても相手にとっても、組織全体にとっても、断然プラスになるということです。

「分かった?」→「ちょっと自分1人でやってみて」


 答えを知ってしまえば、「何だ、それでいいのか」と言いたくなるくらい、シンプルです。でも、自分や周囲のことを振り返ってみてください。こういう場面で、「分かった?」とつい聞いてしまっていませんか?

 つまり、この言い換えスキルは、シンプルで誰にでもできるものだけれども、実行している人は決して多くないのです。だからこそ、あなたがほんの少しの時間と労力を費やしてこれを身につければ、この上なく効率的で、とても大きな力となります。あなたも、あなたの属する組織も、それを武器にぐいぐい前進し、ぐんぐん成長していけるのです。

著者プロフィール:

黒川裕一(くろかわ・ゆういち)

ひなみ塾塾長。1972年生まれ。熊本市出身。

東京大学法学部卒業後、22歳で渡米。テネシー州立メンフィス大学大学院にて助手(コミュニケーション学・映画専攻)を務めつつ映画制作に従事し、現地映画祭にて入選。
帰国後、故郷の熊本にて「自ら気づき、仲間と学び、社会で動く」ことのできる人財の育成を目的に活動。基幹事業の1つであるコミュニケーション講座「ことばの学校」にて、頭で分かり体で実行できる言葉「アクション言語」の指導を開始。
2005年、その実践の場の1つとして「映画革命HINAMI」プロジェクトを始動。
2007年、ことばの学校の進化形として、私塾「ひなみ塾」を設立。


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