睡眠の質を低下させている原因について、最も回答が多かったのは「ストレス」で、不眠症の疑いなし層が19.5%、疑いが少しあり層が38.1%、疑いあり層は58.5%、既に不眠症の治療をしている層は65.7%と、不眠症状が強まるにつれてストレスがある人の割合も高くなっている。
また、就寝前に脳の覚醒を引き起こすようなことを実施しているかどうかを聞くと、不眠症の疑いあり層の88.8%がそれに該当する行動をとっていた。具体的には「テレビを見る」(51.1%)、「PC・タブレット・スマホを操作する」(49.6%)、「考え事をする」(14.4%)「飲酒」(13.9%)などである。
今回の調査結果を受け、睡眠障害を専門とする久留米大学医学部の内村直尚教授は、「就寝前にPCやスマホなどを見るのは、脳が休息したいときに、逆に覚醒を強めるような行動だ。就寝時にスマホなどの操作、ゲーム、飲酒、カフェイン摂取、喫煙、考えごとが習慣になっていないか、自身の脳の覚醒チェックを行って、改めることを勧めたい」と訴えた。
実は、こうした脳の覚醒状態を作り出しているのが、「オレキシン」という脳内の神経伝達物質だとされている。日中の活動時には、オレキシンの分泌が増えることによって、覚醒システムが優位に働き、夜眠くなったり、食後の満腹などによって安らかな眠りに誘われるときは、オレキシンの分泌が減り睡眠システムが優位に働くと考えられている。
しかし不眠症では、眠りたいときにもオレキシンが過剰に分泌されることで、覚醒システムの活性化が引き起こされている状態なのだという。
内村教授は「就寝時に脳が覚醒状態になってしまうと、なかなか寝付けないだけでなく、眠っている間も脳の一部が覚醒しているような状態に陥り、深い熟睡が妨げられ、翌日の眠気やパフォーマンスの低下を引き起こす可能性がある」と強調した。
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