社会保険給付額や年金額まで――「通勤手当の有無」が大きな差を生むマネーの達人(1/2 ページ)

» 2014年11月10日 00時00分 公開
[木脇三博,マネーの達人]
マネーの達人

 会社員の人たちの毎月の給与明細の内訳を見ると、基本給与のほかにさまざまな手当項目にて支給されています。その手当のうち、給与から控除される社会保険料(雇用保険、健康保険、介護保険および厚生年金保険)の計算において含めるものと含めないものがあることをご存じでしょうか?

※賞与は賞与支給の際に別途計算。残業代は通常、4〜6月の定時決定の際に考慮。

 このことから、例えば同期入社の同じ部署、給与、残業時間であったとしても、通勤手当の金額は住んでいる場所で異なります。今回は、この「通勤手当の差」に着目して説明しましょう。

 「通勤手当の差」がもたらす意味について、もし「定期券などの購入費だから、通勤手当の分だけもうかっているわけではないし、違いはない」と考えているのであれば、それは大きな間違いです。

 「通勤手当の差」が病気やけが、失業、産前産後休業、育児休業――、そして老後など、支給される給付や年金の金額の差につながるのです。

「通勤手当の差」がもたらす意味とは

 では、2人の会社員を例に、整理してみましょう。

【Aさん】 通勤手当の支給なし

 基本給30万円 合計30万円

【Bさん】 毎月4万円の通勤手当の支給あり

 基本給30万円 合計34万円


 通勤手当4万円は極端な例ですが、これは住宅手当、家族手当などの有無による差も同様であり、分かりやすくするための通勤手当4万円とお考えください。

 この場合、2人の給与から控除される社会保険料は一般的に次の通りです。介護保険、所得税、住民税などは説明上考慮しません。

 社会保険料を計算する場合、同じ基本給30万円にもかかわらず、通勤手当の違いによって給与から控除される保険料も異なってきます。すると、多く保険料を払っているBさんと、少ない保険料のAさんとでは、それぞれ各保険から受け取る給付額に差が出てくるのです。

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