インタビュー
» 2014年11月05日 15時49分 UPDATE

働くこと、生きること:女の子の学力をぐーんと伸ばしてきた、長野雅弘さんをインタビュー (1/7)

「自分が行きたい学校に行ける」「自分がなりたい職業に就ける」――。さまざまな不安から伸び悩む生徒たちを、次々に有名大学に導いた教育者は、何を考え、何を行ってきたのだろうか。

[印南敦史,Business Media 誠]

長野雅弘氏のプロフィール:

 1956年名古屋市生まれ。南山大学外国語学部卒業後、公立高校を経て私立の女子高等学校に赴任。2001年に、一宮女子高等学校に教頭として赴任。学校改革に腐心し、1年で大学進学実績は前年度の5倍、部活動はインターハイ出場を達成。翌2002年に同校校長に就任。さらなる授業改革に着手し、センター入試直結のオリジナルプリント作成や、研究授業・授業哲学などを展開している。

 現在、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校長として6期目。教育課程特例校許可を受け、「女子教育特別プログラム」を実践している。女子教育に関しては全国初の特例校である。さらに、独自のメソッドで、国公立大学・難関私立大学への現役合格者を4%から31%へと激変させた。また、2011年からは聖徳大学児童学部教授にも就任。


yd_asa1.jpg 長野雅弘さんは現在、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学の校長を務めている

 長野雅弘さんは、聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校で校長という立場でありながら、聖徳大学児童学部で教鞭に立っている。1980年に赴任した県立の商業高校を除けば、以後は一貫して女の子の教育に携わってきた人物だ。

 教頭として赴任した学校では1年目に大学進学実績を5倍に引き上げるほか、部活動でも廃部寸前からインターハイ出場の強豪に育て上げるなど、文武両道で高い成果をもたらした。その後も赴任した先では「近隣他校の手本」とまで言われるように。

 教育に関して多くの著作があり、なかでも女の子の育て方に特化した2014年4月発行の『女の子の学力の伸ばし方 心の育て方』(あさ出版)は、「習ったことの98%以上をその日のうちに身につける」をモットーに生み出された「復習シート」や「継続シート」など独自の方法が高く評価された。

 また学力アップを目指した「継続学習法」について解説した近著『あなたの子どもは頭がいい! ――小さな子どもの学力を、ラクに、グ〜ンと伸ばす3つのお話』(Pan Rolling)で書かれている「絶対に落ちこぼれを生まない教育スタイル」は業界で話題となっている。

 いわば、教育一筋で歩んできた人物。その生き様はまさに「子どものために命をかけている」「働くこと」すなわち「生きること」な人生だ。その原点にまでさかのぼり、教育者として「はたらく」意義などについて深くお聞きした。

 「父は溶接の技術者で、毎日、母のつくったお弁当を持って自転車で工場に出かけていたんです。休みなく働いてくれる姿を見ていましたから、私も大人になって奥さんができたら、お弁当を持って自転車に乗って出かけることになるのだろうと、疑問を感じることもなく思い込んでいました。大学生になってからも気持ちに変化はなかったので、なぜこの仕事をやっているのか分からないですね(笑)」

 とはいえ、大学の先生の熱心な呼びかけが考え方を変化させた。

 「教職に就くことになったのは大学の先生の影響で、それが分岐点だったと思います。南山大学の外国語学部に通っていたんですが、当時は両家の子女が集まる名古屋の名門で、学生の3分の2は女子だったんです。そんななか、あぶれもののようにしていた私にいつも声をかけてくださる教育学の先生がいらっしゃった。

 会うたびに『おまえみたいな奴こそ、先生に向いてるんだ』って言われ続けて。最初は先生なんかになる気はなかったんですけど、『使命感を持って続けることのできる、やりがいがあっておもしろい仕事だ』というような話を何度も聞かされているうちに、だんだん気持ちが傾いてきましてね。それで試験を受けて先生になったんです」

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